トガった彼女をブン回せっ! 本編幕間その6
『ダメに決まってんだろ』

市立留十戈(るとか)学園高校という学校がある。
少子化に伴う生徒不足による複数校の合併によって誕生した新設校である。
スポーツに力を入れている事を除けば、特に代わり映えのない一般的な学校である。
季節は冬。それも十二月上旬。
高校生にとっては年内最後の試練ともいうべき期末考査最後の試験終了を告げるベルが校内に鳴り響いた。
ヤマを当て吠えんばかりに叫ぶ者。反対にヤマを外してこの世の終わりのように唸る者。結果はともかく終わってくれた事に安堵をする者。様々な感情が一つのクラス内に一気に渦巻いていく。
そんな感情を胸に、とある一室に集まってくる生徒達がいた。その部屋の入口に貼られた小さなプレートには「剣道場」とある。
スポーツに力を入れているだけの事はあり、しかも新設校という事もあって――いくら合併前の学校の施設をほぼそのまま使っているとはいっても、なかなか綺麗に改修をされているし、手入れも行き届いている。
綺麗に磨かれた床板の冷たさに顔をしかめながらも、集まって来た生徒達は思い思いの場所に座っていた。何かを待つように。
そこへガラガラと音を立てながらホワイトボードを運んで来たのは、剣道部主将の沢という生徒である。
何故か貼り付けてある今月のカレンダーを指でコツコツ叩きながら、
「おい注目!」
そこそこ通る大きな声で、集まっている生徒達――もちろん剣道部員を自分の前に呼び集める。
部員の一人が開けっ放しだった入口を閉めに行ったのを横目で見つつ、沢は部員達を見回して口を開く。
「今日で期末試験が終わって、明日から試験休みに入る」
そんな事は言われなくても皆知っている。しかし言わねば話が始まらない。
「試験休みとはいえ部活はある。月曜日と木曜日の午前中、週二回だ」
まるでバラエティ番組のサクラのようなタイミングで「え〜〜〜」というブーイングがくるが、沢はそのブーイングを無視して、
「人の話は最後まで聞け」
そしてホワイトボードに貼り付けていたカレンダーを指差すと、
「なぜ月曜日と木曜日なんて中途半端な予定にしたのかを、これから説明する」
沢は一同を見回しながら、あからさまに勿体ぶった態度で、演技過剰気味な咳払いをすると、
「試験休み最後の木曜日である二十一日。その午前中の部活が終わってから、ちょっと早いクリスマスパーティーをやっちまうからだ!」
うおおおおおおおおおおっ!
途端にわき起こる拍手。だがしかし部員の誰かが、そんな拍手にやや劣る音量で質問をしてきた。
「おーい。それなら二十五日の修了式後の方がよくないか? クリスマス当日だろ?」
その声で部員達が少しざわめいた。それに答えたのは、副部長のような位置で立っていた女子部員だった。
「それではダメです。二十三日にはスオーラさんが故郷に帰ってしまう事が判っていますので」
きっぱりとそう告げた女子部員――鹿骨(ししぼね)ゆたかは座っている部員達(特に男子部員)を蔑むような目で見下ろしたまま、
「本当はあなた方のような品のない方々を彼女に近づけさせるのはご免被りたいのですが」
こんな発言をするのは、ゆたかが男嫌いで通しているからであり、同時にスオーラを(色んな意味で)守ろうと真剣に動いているからでもある。
そのスオーラ――モーナカ・ソレッラ・スオーラと彼らが出会ったのは今年の春の事である。
スオーラの故郷は何と「異世界」。正体不明の謎の侵略者を追ってこの世界にやって来たというのだ。
そんなマンガかアニメかラノベのような――と本来なら一笑に付すところだが、壁をすり抜けて出現したり、何より彼らの目の前でその「侵略者」と戦いを繰り広げ、これを倒したのである。
言葉通り「皆を守ったヒーロー」なのだ。女性だが。
あちらの世界では相当なお嬢様らしく、慇懃無礼にも受け取れるくらい丁寧な受け答えで性格もいい。加えて容姿・スタイル共にかなりのレベルの美少女とくれば、男子部員はもちろん女子部員だって放ってはおかない。
この事件に居合わせた警察官の提案もあり、スオーラの正体は他言無用。何かあった時には影に日向にスオーラを守る。そういう取り決めになっている。
とはいえそれを真剣にやっているのはゆたかくらいのもので、あとの部員は正体をバラさない程度にしか取り決めを守っていない。
特に男子部員は彼女に好かれたいという気持ちで動いていると言っても過言ではない正直振りである。
「って事は、スオーラさんも呼ぶの?」
「呼ばねーでどーすんだよ」
部員達が一気に盛り上がり、場のテンションも無意味に跳ね上がる。
一応今年の夏にも「スオーラを囲む会」的な事をやったのだが、途中で用事が入ってしまったとかで中座になっている。
テンションが無駄に上がったのはそのリベンジを期待しての事もある。
しかし。そこに水を差す正論が一言やってきた。
「で。ドコでやるんだよ?」
跳ね上がったテンションが一気に下がった。それも始まる前よりも。
それを言った部員が「空気読め」と周囲の部員達からポカポカ叩かれている。
「確かに問題はそこだ。これだけ人数がいるとな……」
沢がそう言いながらホワイトボードにキュキュッと何かを書き込んでいく。

1 カラオケボックスのパーティールーム
2 剣道場
3 どこかの教室

沢が書き出したのはこの三つの場所だ。彼は「他に思いつく場所ないか?」と部員達に訊ねている。
剣道部の部員の数は、男女含めて全部で二十三名。これだけの人数が一堂に会せる場所がない訳ではないのだが、どこでもいいという訳ではない。
通りすがりやたまたま聞き耳を立てていた人がスオーラの正体を知って、広められる危険がない場所でなければならないのだ。
そうなると――部員達も頭をひねっている。
「パーティールームなら割り勘で済むよなぁ」
「剣道場や教室なら場所代はかからないけど」
「食べ物どーするよ? 出前? 持ち寄り?」
ざわざわざわと皆が騒ぎ出す。一応意見は出ているがそれぞれが勝手に言ってるだけだあり、正直に言ってまとまる様子はない。
だが。誰かが言った。
「持ち寄りだったらさ、スオーラさんも持って来てくれるのか?」
その言葉に過敏とも言える反応をしたのは、やっぱりゆたかである。
「あのですね。スオーラさんはいわば主賓でしょう。彼女にそんな真似をさせていいと思っているんですか?」
和風美人と称される彼女の目がゆっくりと吊り上がっていく。言葉も怒鳴ってこそいないが威圧感は相当なものだ。気弱な人ならそれだけで気圧されるだろう。
だがある意味そのリアクションに慣れている部員達は「またか」という反応。しかしそれと同時に、女子部員の支手撫子(しのでなでしこ)が、
「けどさぁ。一度くらいはちゃんと食べてみたいでしょ、スオーラちゃんの手料理」
それは部員皆にというよりも凛とした態度のゆたかに向けて、である。
スオーラはお嬢様育ち故か(異世界の基準とはいえ)高い水準の教育を受けており、料理の方もかなり上手らしい。
こちらの世界での仮の身分として、この学校の学食で働く職員という地位を得ている。
さすがに世界が違うからか料理のやり方・味付けに関しては日本とは随分違うらしいので、彼女の仕事はあくまでも調理補助と清掃である。
最近では日本流の味付けもだいぶ覚えてきたそうでそれら以外の事も色々手伝ったり任されていると聞いている。身につける早さや応用力も高いのである。
だが学食で出るのはあくまでも「学食」の味。スオーラの味ではない。
日々学食に入り浸って何とか少しでもスオーラとの接点を持ちたいと考えている剣道部員達だが、彼女の手料理を食べた事のある部員は――半年以上が経つというのにほとんどいない。
例外となっている部員はただ一人。この場にいない一年生の角田昭士(かくたあきし)という生徒だ。
昭士も他の部員達と同じく今年の春にスオーラと出会った。だがその後が他の部員と全く異なった。
実は彼も、スオーラと同じく異世界からやって来た侵略者と戦う力を持っている事が判ったからだ。
そのためスオーラは昭士と行動を共にする事が一番多く、戦いの過程でスオーラの故郷である異世界に何度も行っている。
戦いが泊まりがけになる事も多く、その時はもちろんそれ以外でもスオーラの作った料理をよく食べている事は既に調査済である。
戦いの為に学校を早退・欠席する事が増えた昭士の為に、ノートを貸してやったり勉強を教えてやったりしているのも、ひとえにスオーラとの接点を(間接的にでも)持ちたいからという理由が圧倒的に大きい。
撫子はまるでだだっ子のように「だって食べたい〜〜」と手足をバタバタとさせているが、その状態の彼女にツッコミを入れると面倒なのであえて放置している。
だが。撫子が言う事はもちろん全員が理解できるので、
「そうだよなぁ。いくら何でもアイツばっかりさぁ」
誰かが言った言葉によってズーン、という効果音が生まれ、この場を支配する。もちろん昭士が置かれている境遇は理解している。
彼の戦いが文字通り命懸けである事はこの場の皆が知っているからだ。
そしてその戦いの中で、彼は一度、本当に命を落としている。それも部員達の目の前で。
その後で見事復活を果たしてはいるものの、だからと言って彼と立場を変わりたいなどとは誰も思わない。
いっそ二人が付き合ってくれれば多少は諦めもつくというものなのだが、お互いの態度から察するに、まだそんな関係でない事も容易に見当がついている。
親密に半年以上付き合いがあるというのに!
その辺りも嫉妬ややっかみ――まではいかないが、少なくとも戦ってくれる有難さ以上の感情がなかなか持てない理由かもしれない。
それ以前に、スオーラとの事がなかったとしても、彼の立場には決してなりたくない。というのが皆の共通意見である。
それは昭士の双子の妹・いぶきが原因である。
この妹は物心ついた時から「誰かのために」「みんなで一緒に」という行動を見るのもやるのも死ぬほど大嫌いという人間なのだ。
たとえどれほどの報酬を積まれようが、目の前で死に瀕していようが一片のためらいもなく断われるくらいである。
それでいて自分が困っている時には他の誰かが無償・無条件で助けるのを当たり前だと本気で考えている。
それらが「自分勝手」と受け取られているので、友達がいたためしがない。
それだけならまだしも、自分の気に入らない事があると容赦なく周囲に当たり散らすし、他人が困っているのを見たり、困らせるのが大好きな面もある。
もっとも、その辺りの被害を受けるのはたいがいが昭士である。しかも度が過ぎて入院、下手をすれば死んでいたケガも何度か負っている。
いぶきに言わせれば「昭士の妹」というだけでも死にたくなるくらいの恥辱らしく、常々「こっちに迷惑かけずに死んでくれないかな」と公言している。
事実昭士が戦いで命を落とした時には、それこそ全身でその死を心から喜んでいた事もあり、それが益々いぶきを孤立化させている。
いくらスオーラのような外見内面共に美人と親しくなれたとしても、いぶきのような命がかかるデメリットを背負い込むのはご免だと思うのが人間というものである。
「……おいおい、今はあいつの事は置いとけ。結局どうするんだ、お前ら?」
すっかり脱線してしまった雰囲気を、沢はパンパンと手を叩いて注意を引いて戻そうとしている。
それで我に返ったように「どうしようか」と意味もなく考えにふける部員達。
「……ちょっと質問」
男子部員の一人・戎 幾男(えびすいくお)がわざわざ手を挙げる。
「彼女の家……って言っていいのかな。あのキャンピングカーの能力じゃ、こんな大勢の料理を作るのって難しいと思う。場所とか火力とか」
機械関係の事はそれなりに詳しい彼ならではの疑問である。
スオーラのこの世界での住居は、どこからか手に入れて来たというキャンピングカーなのである。
さすがに中を見た事がある生徒は(昭士といぶきを除けば)いないが、ちょっとしたマイクロバスほどの大きさのそれは、キャンピングカーとしては割と大型の部類に入るらしい。
だが、それは明らかにこの地球の物ではないし、かといって彼女の故郷の物ではもっとない。聞けば機械的な文明レベルは現代地球の百年は昔らしいからだ。
だが所詮はキャンピングカー。中の調理施設も一般家庭と比べればその機能は明らかに劣るし、何より狭い。
一家族分レベルの簡単な調理ならまだしも、二十数名の、しかも大食らいが揃った体育会系の高校生達が食べる量の料理を作るのは色んな意味で難しい。
そう言われると、持ち寄りにしても「彼女の料理を食べる会」にしても、どっちでも厳しい気はする。
そこで無意味にすっと立ち上がったのは撫子である。彼女は「ちょっと行ってくる」と剣道場を飛び出して行った。
せめて何をしに行くのかを言ってから出て行ってほしい。沢やゆたかの冷ややかな視線も既に走り去った撫子には届かない。
どうしたものかと意見を出し合うが、やっぱり「これだ」という案が出てこない。
それは皆の気分が「一足早いクリスマスパーティー」よりも「スオーラの料理を食べてみたい」に片寄ってきているからだろう。
そんな風に会議が停滞しているところに、先ほど出て行った撫子が戻って来た。
「何しに行ってたんだよ?」
女子部員の岡 忍(おかしのぶ)が不満そうな声を上げてくる。二年生である撫子は三年生である忍に一応の敬意を払うかのように、彼女の前で立ち止まると、
「ダメでした」
「何がだよっ!」
間髪入れない忍のツッコミ。だがそれはこの場の全員が言いたい事だろう。
「あ。ほら。あのキャンピングカーじゃたくさんの料理を作れないって言ってたから、学食のキッチン使わせてくれないかって、聞きに行った」
それを先に言え。これまた皆の気持ちが一致した。
「当たり前でしょう。いくら試験休み中は縮小営業するとはいえ、学食の厨房を私用で使わせてくれる訳がないです」
ゆたかが溜め息をつきながら、まるで小さな子供に言い聞かせるように撫子に向かって説明する。
それは撫子の発想の完全否定である。ゆたかは撫子と同学年の為か、色んな意味で言い方に遠慮がない。
「けどさぁ。四月にアイツ、スオーラちゃんの手料理食べてるし。学食で何か作ってたし。だから大丈夫かなーって」
確かにこの世界に来たばかりの頃、スオーラは学食で調理した料理を昭士に食べさせた事がある。だから今回も大丈夫かと踏んでいたがダメだった、という事だ。
「それにさ。学食以外で、そんな大勢の分の料理を作れる場所ある? しかも使わせてくれるような?」
撫子は、まさしく「それなら対案を出してみろ」と言わんばかりに言い返してくる。自分の考えを否定された部分もあるので、少々ムキにもなっている。
「……あるじゃん」
これまたぼそっと戎が口を開いた。ムキになっていたからかかなりキツめの態度で「じゃあドコだよ」と問うた撫子は、
「家庭科室」
彼の言葉にポカンとした表情で、一発で納得した。
家庭科室。より正確に言うならば調理実習室である。
確かに一クラス分の人間が入れるスペースはあるし、基本的な調味料や道具はもちろん調理スペースだって充分にある。
言われてみれば確かに、というまさしく盲点。だがそこに一番に気づいた発想は大したものなのである。
部外者ならともかく、一応はこの学校に在籍している人間が「使いたい」と言っているのだ。大義名分はある。少なくとも撫子はそう思った。
「よし。善は急げ。先生に掛け合うぞ。我と思わん者は着いて来るがいい!」
後半はだいぶ芝居がかった言い回しだが、返事も聞かずにずんずんと歩いて剣道場を出て行く撫子の後ろに、部員の大半がゾロゾロと続いたのは言うまでもない。


「ダメに決まってんだろ」
開口一番。職員室にいた体育教師の峰岸(みねぎし)は、撫子その他の提案を一太刀で斬って捨てた。
「先生そこを何とか……スオーラちゃんの手料理ですよ、手料理」
後半は彼に耳打ちするかのような音量である。それは峰岸もスオーラの秘密を知っている人物の一人だからだ。
だからこちらの事情を把握しているし、従って許可も下りやすいと踏んだのであるが、トンだ事とはこの事である。
「確かにこの学校の生徒や関係者が特別教室を使う事自体は何の問題もない。許可無くいきなりってのは別だがな」
「じゃあ何でダメなんですか。こっちは立派なこの学校の生徒と関係者ですよ!?」
当然撫子は食ってかかる。それを聞いて納得できない他の部員達も同様だ。
峰岸はそんな猛獣を思わせる雰囲気の生徒達を前に、どうにかなだめようとする調教師のごとく、
「授業以外で特別教室を使えるのは、課外授業や部活の時。それは判るな?」
そこで話を区切り、皆が自分に注目しているのを確認してから、彼は話を続けた。
「でもこれは明らかに部活じゃないだろ。それじゃ許可は下りないぞ」
「じゃあ部活だったらいいんですか?」
「剣道部が部活目的で家庭科室を使う理由って何だよ?」
ズイッと前に出て食い下がってくるゆたかに、峰岸も呆れ気味で訊ねる。
それに反発するかのように他の部員も文句を言ってくるが、意見を覆す威力は残念ながらないようだ。
「もちろんタダで、何て言いませんよ。ちゃんとスオーラちゃんの手料理は先生にも回しますから……」
撫子が悪代官とつるんでいる悪徳商人のような雰囲気で峰岸にすり寄る。彼は微妙に撫子から距離をとりつつ、
「いや、そりゃ欲しいけど、許可を出すのは別の先生だ。その先生は彼女の秘密は知らないし」
「じゃあ、その辺りを適当にごまかしておいて……」
「できるか、そんな事! だいたいお前達は肝心な事を忘れているぞ」
「何ですか!?」
なかなか食い下がらない生徒達に向かって、峰岸は至極真っ当な事を言った。
「スオーラさんの許可は取ったのか? これこれこういう事情で料理を作って欲しいって?」
何で今までその話題が出なかったのか。そう言いたそうな生徒達を見回しながら、
「彼女にだって『自分の生活』というヤツがあるんだ。それを無視してあーだこーだ言ってたって始まらんだろう。仮に家庭科室の使用許可が下りたところで、彼女の都合が悪かったら何の意味もないんだから」
むむむむ。そんな風に困り顔でうなる生徒達。
それはまさしく「諦め切れない」という表情。
(まぁ、気持ちは判るがな)
しゃべり疲れたと言わんばかりに、傍らに置きっぱなしだった冷めた茶をすする峰岸。
そこで思い浮かんだ疑問を、あえて口にしてみた。
「それに。予算はどうするつもりだったんだ?」
「予算?」
部員を代表するように、沢と忍が聞き返すと、
「考えても見ろ。一人二人ならいざ知らず。お前らみたいな食い気花盛りの連中二十人分のメシだろ? いくらかかると思ってんだよ、材料費」
「…………」
「まさか、全部彼女に出させる気だったのか? さすがにそれはないだろ?」
「……………………」
その沈黙は、そこは全く考えていなかったという事を物語るものだった。
何よりも雄弁に。

<つづく>


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