『底抜け豆腐屋小僧 おまけ』
普通と思われる木綿豆腐の作り方<豆腐2丁分>
材料  大豆:300g/軟水のミネラルウォーター:たくさん/にがり:10ccくらい
よく言われる事だが、木綿豆腐とは専用の型箱に入れる際、箱の内側に木綿の布を敷くから。
でも絹ごし豆腐は絹を使う訳ではない。スベスベの外見や食べた時のなめらかな舌触りを「絹のよう」と形容したから。

その壱:よく洗った大豆300gを1400ccの真水に漬けておく。夏場は8〜10時間。冬場は16〜20時間。あくまで目安。約2倍半(700gくらい)にまで膨らむので、充分余裕のある盥やボールなどを使う事。

その弐:水を少しずつ加えながら、大豆をすり潰す。昔ながらの石臼が一番具合よくクリーム状に潰せる。
でも現代ではフードプロセッサを使う方が手軽。大豆と、大豆の量の1.4倍の水を入れて数分で済む。
この時一度にまとめてやらずに、フードプロセッサの容量の1/4くらいずつやる方が機械を傷めずうまく行く。
こうしてできたクリーム状に磨り潰された大豆を「呉」と呼ぶ。
※すり潰してから水と混ぜるのでは、うまくクリーム状になってくれない。水を加えながらすり潰すのがミソである。フードプロセッサで同様の事をしたら間違いなく機械を傷めるので、絶対水を入れる事。

その参:呉を大きめの鍋に入れて煮立てていく。最初は強火、湯気が出るくらいになったら中火に。ドロドロし過ぎだと思ったら、ここで水を加えてもいい。
とにかく呉は焦げつきやすいので、常にしゃもじなどで底からかき混ぜ続ける。もし香ばしいにおいがしたらそれは焦げついたという事。
煮立てている時、呉に含まれるサポニンという成分が原因で激しく泡立って吹きこぼれます。火加減をこまめに調整するか専用の消泡剤・石灰・食用油などを少し入れる。あまり入れ過ぎると豆腐にその味が残ってしまうので注意。
豆独特の青臭いにおいから豆腐特有の甘いにおいになってから5分ほど煮れば終了。

その肆:煮上がった呉を袋状の濾し布に入れて絞る。この時袋の中に空気が入らないよう、無駄なく絞るように気をつける。
もちろん熱いのでヤケドに充分注意するのは言うまでもない。絞った物が豆乳。袋に残った物がおから。
再度熱を通すので、ある程度冷めてから絞っても問題はない。が、冷たくなってから絞るのは止めた方がよい。
※さらに手軽にいきたいのなら、始めから豆乳を買ってもいい。成分無調整の大豆固形分(濃度)13%以上なら豆腐作りに使える。それ以下だと相当薄味の豆腐になるか、成分不足でにがりを入れても固まらない。

その伍:豆乳1リットルに対し必要なにがりは10ccほど。ただしそのにがりは水で2倍に希釈しておく。
キッチリと量った豆乳を鍋に入れて温め、豆乳の温度が75度を超えたらにがりを入れる。適温としては70〜80度だが、79度を超える頃、鍋の表面に湯葉ができてくる。湯葉は湯葉で美味しいが豆腐作りはやりづらい。
にがりを入れた途端温度が下がる事も考慮して、にがりを入れ終えるまではとにかく75〜80度を常にキープするように。
勘や目分量ではなく必ず温度計でしっかり温度確認をしないとプロでもうまくいかない。特に鍋が小さすぎるとちょっとした事ですぐに温度が激変するので要注意。
もし温度が高かった場合:豆腐としてはすぐに固まるものの、不自然に固い豆腐になってしまう。
もし温度が低かった場合:なめらかではあるものの、いつまでも固まらない恐れがある。
※直火にかけるよりは湯せんでやった方がうまくいくかもしれない。その時はお湯が冷めないように気をつける事。

その陸:にがりは一度に全部入れず、数回に分けて入れる。全体に行き渡るようゆっくりと、しかしよくかき混ぜる。が、混ぜ過ぎるとせっかく固まった部分が崩れてダメになってしまうし、混ぜなさ過ぎだと柔らかいままだったり固まり方にムラができる。
混ぜ終えて、たんぱく質が固まって何箇所か豆乳が透きとおってきたら、蓋をしてしばらく置いて安定させる。量が正しければ5分もいらない。
安定したら小さなざるなどで上澄み液を取り除いておくといい。この時の上澄み液を舐めてみて苦かったら、それはにがりの入れ過ぎ。
※にがりといっても色々種類(成分)がある。海水を蒸発させて作ったにがりの場合、塩化マグネシウムが5、硫酸マグネシウムが3、硫酸カルシウムが2の重量比で採取できる。
硫酸カルシウムのみだとは固まり始めるのに10秒くらいかかるので少々時間に余裕がある。失敗が少ない。
塩化マグネシウムのみだと5秒ほどで作業を終えないと固まった部分を崩しかねない。量を多く間違えるとそれプラスボソボソのまずい豆腐になってしまう。
専門の豆腐屋や「手作り豆腐セット」のにがりはこれらを微妙に配合しているようである。

その漆:専用の型箱に布を敷き、まだ熱いうちに固まっている物をお玉などですくって型箱に入れる。
入れ終わったら型箱の布を折り畳んで閉じて、上に重しを乗せる。重さはだいたい包んだ豆腐がすぐに潰れない程度の物を適当に。
通常であれば厚さが2/3くらい(20分ほど)になったら重しを取り、水の中で型箱から外す。これで木綿豆腐の出来上がり。
長く水の中に浸けておくと味が抜けてしまうので、早めに取り出して冷蔵庫に入れておく。
なお、固めがいいなら重めの重しで時間も長め。柔らかめがいいなら軽めの重しで時間も短かめにするとよい。
※ちなみに型に入れない段階で固まった部分を盛ると「寄せ豆腐」「おぼろ豆腐」。ざるに上げて豆腐の重みで自然に水を切ったものを「ざる豆腐」。桶やお椀で汲み取ったものを「くみ豆腐」とそれぞれ呼び、食感も微妙に異なります。

文頭へ メニューへ
inserted by FC2 system