テーブルトークリプレイ
『大神ぬきの午後 その弐』

【エリカ ボケの中からヒントを得る?】

DM:それじゃあエリカ、お待ちどうさま。君の出番だよ……ってのんきにおかし食べてるんじゃない!
ロベリア:そうだそうだ。こっちは苦労してるのに。
エリカ:だって、ヒマだったんだもん。
DM:わかったわかった。じゃあ君の番なんだからちゃんと聞いてね。
エリカ:は〜い。
DM:え〜〜……。とりあえず、レビューね。舞台でたったか踊っている、と。
花火:ネコダンス?
ロベリア:あの服っていかにも「ネコミミ属性オタク」向け。
コクリコ:右に同じく。
DM:そのレビューでの事なんだけど……。エリカ、D100振ってくれない?
エリカ:D100ってD10を2つ振るんでしたよね。えい。……あ。どっちが10の位か決めるの忘れてた。
ロベリア:こんな時までボケかまさんでいいっ!
エリカ:ボケじゃないんですぅ〜。じゃ、もう1回。えい。あ。0です。
DM:0!? (ダイスを覗きこんで)ああ。両方とも0の時は100の事なんだ。
エリカ:100なんですか。わかりました。あ、これって、少ない方がイイの? 多い方がイイの?
グリシーヌ:そういうのは振る前に聞くものだが……。
DM:(いかんな……今作ったアクシデント表だと「セット崩壊」だよ。まさか出すとはなぁ(苦笑)。いくら何でもこれは……。しょーがない。こっちで出た目の数だけ引くか。……48か。これならまだ……)やっぱりやりました、エリカくん。
エリカ:何をです? まさか……。
DM:そう。そのまさか。ターンの時にバックの踊り子さんにエリカが裏拳入れちゃいました(笑)。踊り子さんは舞台にバタッ。
グリシーヌ:またか……(笑)。
DM:(ダイスを振って)しかも「大丈夫ですか?」って駆け寄った時、その踊り子さんの足首を、エリカがグニュッと踏んじゃって、エリカもすっ転ぶ。
コクリコ:ア〜ア。かわいそ。それってねん挫するよ。
ロベリア:器用なヤツだな。あらゆる意味で。
花火:お約束だね。
エリカ:じゃあその子に「癒しの力」を……。
DM:使うの? こんな人目のある所で?
エリカ:あ。そうか。じゃあ「すいませーん。どなたかお医者さんいませんか? できれば接骨院とかがいいんですけど〜」。
花火:聞くの? 舞台の上から?
グリシーヌ:前代未聞だな。
DM:(よし、ナイスだエリカ! これで手間が省ける)「あの。自分は一応医者ですけどぉ」ってステージにやってきたスーツ姿の男が一人。
ロベリア:どういうヤツだ?
DM:おいおい。この場にいない人間が聞かないように。
ロベリア:よしエリカ、聞くんだ。外見とかもいろいろ聞けよ。美形かどうかも聞くのを忘れるな!
エリカ:じゃあ、そういった事全部。
DM:手ェ抜いたな(苦笑)。
グリシーヌ:ロベリア。この場にいない貴様が助言するな。テーブルトークの約束事だろう!
ロベリア:いいだろ? 初心者へのアドバイスだよ。
DM:ま、大目に見ましょう。説明しよう。その自称医者は30歳くらいの細めの男だよ。パッと見アジア系の。細めったって貧弱な感じではないね。
ロベリア:ほう。で「魅力」は?
花火:顔にこだわりますねぇ。
ロベリア:男は中身も大事だが、顔も大事だぞ。覚えとけ、お前たち。
DM:姐さん。プレイヤーに向かって力説しないように(笑)。今決めるから。(ダイスを振って)……おっ、すごい。16!
ロベリア:おおっ(笑)。エリカ、名前と住所聞いとけ!
DM:ま、それは後で説明するとして、ストーリー進めさせてね。その男はステージに上がって、倒れた踊り子さんの足首を軽く持ってくりくりとやっている。痛みで顔をしかめたのを見て「ねん挫ですね」とアッサリ。
コクリコ:やっぱりね。元バスケ部員をなめるなよ。そんな事故しょっちゅうだったんだから。
DM:はいはい。「とりあえず応急処置をしておきましょう」と言って楽屋に運んでいく。
グリシーヌ:なかなか手際がいいな。下心がなければ。
DM:下心ねぇ。それはともかく応急処置は済んだよ。しばらくは無理をしない方がいいだろうね。
コクリコ:そうそう。でないと大変だから。
DM:その男は「もし何かありましたら、ここに……」と言ってエリカに名刺を渡すけど。
エリカ:はい。受け取りました。
DM:名刺には「フー・ウールゥ診療所」。フーは明らかに名前だね。住所は「水辺の橋」の近くだよ。
ロベリア:よしよし。偉いぞエリカ。
エリカ:じゃあ、フーさんを呼び止めます。「良かったら診てほしい人がいるんですけど……」
DM:(よし、調子いいぞ。あんたホントに初めてか?)「診てほしい人ですか? 今からはちょっと……。明日は休診なんですけど、知人を特別に見ようと思って開けてますから、その人を連れてきてもらえますか?」そう言って帰っちゃう。
ロベリア:バカ。何とか引き止めろ! カラダ使って良いから!
ロベリア以外:おいおい(汗)。
ふう。どたばたあったけど、とりあえず伏線は撒けた。気づいてるかどうか知らんけど。
それにしてもすっげー回り道(泣)。素直に花火が「水辺の橋」に行ってくれりゃこんな苦労しなくて済んだのに。とほほ。


【謎の東洋人襲来!?】

DM:じゃあ、レビューも終わって、次の日。一同は再び指令室に。グラン・マとシーがいるよ。そういう訳で、各自昨日の報告を。
ロベリア:……ない。
コクリコ:こっちもない。
DM:「手がかりなしかい」とグラン・マも呆れてる。
花火:ロベリアさんが財布をスリ損なって逃げ回ってました。
ロベリア:言うんかい!?
DM:それを聞いたグラン・マは「ボーナスなし」とキッチリ言ってくるけど。
ロベリア:そんな〜(泣)。
エリカ:わたしはちょっと用事があるんですけど〜。
コクリコ:ああ。医者に連れてくのか。
DM:こらこら。その時コクリコは現場にいなかったんだから。そういう時は知らないフリをするのがマナーだよ。
エリカ:じゃあ、昨日の事を話します。
DM:それならいい。
グリシーヌ:ならば、エリカが連れて行けばいい。保険証忘れるなよ。
コクリコ:この時代に保険証ってあるの?
ロベリア:ではエリカ。診療所はしっかり調べとけよ。ツボの中とかタンスの中とか。
花火:某DQですか。
エリカ:一人でやるんですか? みんな手伝ってくれるものと……。
ロベリア:じゃあ、エリカがその医者の注意を引き付けている間に、アタシが金目の物を奪うって事で。
グリシーヌ:却下。
DM:(そろそろいいかな)そんな風に言い合ってる所にメルが走って入って来る。
コクリコ:どうしたの?
DM:「警察の方が『オーナーに会わせろ』と言っています」と息きらせてメルが言ってるけど。
ロベリア:ヤバイ。アタシがここにいるのがバレたか!?
花火:それは確かにマズイですねぇ。
エリカ:で、続きは?
DM:「なんでも、昨夜また例の殺人事件があったそうです。その時、足早に去って行く東洋人の男を見たという目撃情報があったらしく……」と言っています。
エリカ:え!? でも、大神さんは昨日部屋でしたよね? 風邪で寝てるんですから。
グリシーヌ:昼間はな。夜は誰も行かなかったからアリバイがないぞ。
コクリコ:西洋の人は、日本人の顔なんてみんな同じに見えるからねぇ。あ。東洋人か。
DM:それを聞いてグラン・マもしょうがない、といった感じで「これから行くから、すぐ支配人室にお通しして」と言って指令室を出て行く。
ロベリア:よし。じゃあ警察とグラン・マが部屋に入ったら、隣の部屋からこっそり聞いてよう。
コクリコ:聞くのね。はいはい。
DM:それじゃあ、みんなでこっそり移動。秘書室に入るよ。
コクリコ:じゃあ、コップを壁にくっつけて、向こうの声を聞こう。
DM:まぁ、ホントは「聞き耳」のチェックしなきゃいけないんだけど、今回は割愛。内容も長くなるから要点だけに絞るけど「ここでも東洋人の男が働いてるそうだから、彼のアリバイを聞きに来た」ってところかな。
グリシーヌ:全然短いじゃないか。
DM:グラン・マも「彼は犯人じゃない」って弁護してるけどね。でも、アリバイのない人間だし「仲間がかばっている」と向こうは思ってるから決定打に欠けてるね。
グリシーヌ:という事は、こんな事をしている場合じゃない! エリカ。急いで隊長のところに行くぞ!
エリカ:なぜです?
ロベリア:そうか。事情聴取だなんだで、絶対に警察が行ってる。下手すりゃ問答無用で留置所で1泊だぞ。
花火:さすがに問答無用は……。
ロベリア:わからないよ。この頃の東洋人はヨーロッパじゃかなり低く見られてたからね。やってもおかしくない。
コクリコ:じゃあ急がないと。
DM:わかった。じゃあ全員で?
ロベリア:わかってる。アタシはここに残るよ。わざわざ警察のところへは……。
グリシーヌ:では、ロベリアはあの医者のところへ。こういう事情で行くのが遅れるって伝えるように。
DM:またパーティー分裂行動か。面倒なんだけどなぁ。
ロベリア:うるさい! アタシが警察に捕まったらパーティーが崩壊する!
DM:ごもっともで。じゃあ、大神さんの方から解決しようか。ロベリアを除くみんなが彼のアパートに行くと、やっぱり警察がいた。彼の部屋のドアをトントンってノックしてる。
コクリコ:やっぱり。
DM:その警官はみんなを見て「何の用だ?」って聞いてくるけど。
エリカ:この人のお見舞いですけど〜。お巡りさんはどうしたんですか?
DM:さすがにシスターにこういう事言われると答えざるを得ないね。「昨日起こった殺人事件で、東洋人の男が目撃されたという情報があった。そのため、この男を調べに来たのだ」とあくまで偉そうだけど。それに「お前たちこそ何者だ」って聞いてくるけど?
グリシーヌ:やはり、こういった警察に手早くあしらうにはこれしかないか。
花火:これって?
グリシーヌ:こういったヤツは自分より偉いヤツに弱い。「物を尋ねるが、ここの男が容疑者というつもりなのか?」
DM:「容疑者ではない。アリバイを調べているだけだ」
グリシーヌ:「この男は昨日風邪を引いていた。出歩けるような状態ではない。それが事実である事はグリシーヌ・ブルーメールの名にかけて誓おう」と言ってやろう。
ロベリア:ま、正論だな。
DM:ブルーメールの名前が出て、その警察官もちょっとビックリする。
エリカ:さすがグリシーヌさん。説得力が違います。
DM:でも、それで決まったんじゃ面白くないから、技能を使おう。(ルールブックを見て)この場合は「説得」だな。説得の技能、持ってる?
グリシーヌ:うっ。持ってない。
DM:じゃあ修正なしで「説得」ロール。数値は「魅力」を使ってね。D20振ってどのくらい下回ったかで勝負だ。ちなみにこの警察官の魅力値は10だから。
グリシーヌ:同じか。ならば相手にとって不足はない。……なぜこういう時に20が出る!?
コクリコ:あ〜あ。だめだコリャ。
DM:こっちは成功。警察官は「権力を傘にきるヤツは多いんだよなぁ」と言わんばかりの目でグリシーヌを見ている。まるっきり信じてないね。
エリカ:じゃあ今度はわたしが説得します。
ロベリア:それダメ。
エリカ:なんでです?
DM:そうだよ。この人がダメだったら次わたし……みたいに何度もやってたらそのうち成功しちゃうよ。それじゃあ、こうしたルールの意味がない。
エリカ:なるほど。
DM:まぁ、別な手段で解決するってんなら話は変わるけどさ。
花火:……よし。それじゃあ、これならどうでしょう?
コクリコ:何が?
花火:じゃあ、その警察官に近づいて「あの……兄が風邪を引いているのは本当なんです。せめて治るまで、事情聴取は待ってもらえませんか? 治ったら警察署へ行って聴取を受けさせますから」と目をうるうるさせて頼んでみよう。目薬使って。
グリシーヌ:説得とどう違うんだ? だいたい「兄」っていうのはなんだ?
花火:「説得」がダメなら「言いくるめ」でって思ったんですけど? 「演技」でもいいか。
エリカ:似たようなもんじゃないですか。
DM:ま、似たようなもんなんだけどね。「説得」の場合は、自分が話している内容を本当だと信じていないとダメなんだけど、「言いくるめ」「演技」の場合は嘘八百だってかまいやしないんだ。それに、似てるとはいえ別な手段だ。「話は変わる」と言ったばっかりで無効にはできない。
コクリコ:なるほど。そういう抜け道があったか。
DM:それじゃあチェックね。実は、これどっちも「魅力」なんだわ。どっちにする?
花火:この場合は「言いくるめ」でしょうね。12以下で成功……え〜と8です。
DM:じゃあ、こっちは「言いくるめ看破」を使って……。
グリシーヌ:そこまでするか、貴様!
DM:ま、こういう状況なら、たいがい疑り深くもなるよ。ちなみに「言いくるめ看破」は「知恵」なんだ。こいつの知恵は12だから……げ。11だ。
花火:こちらの方が多く下回ってるから勝ちですね……ぽっ。
DM:警察官はしぶしぶ「じゃあ、お兄さんが治ったら、警察署へ連れてきて下さいね」と言って去って行く。
エリカ:花火さん、凄いです。
「技能」は選択ルールなので使わなくてもいいのだが、我々は採用しています。
6つの能力値を元にダイスを振って成否を判定するものです。ルールブックには「こういう判定の時にはこの能力値を使う」という事が書かれており、能力値以下を出せば成功という事になります。
でも、この場合みたいに「多く下回ったか」を競ったりという事もあるし、ルールブックとは違う能力値で判定する事もあります(間違いとは別)。
要は、不自然じゃなきゃいいんですよ。
ちなみにDMが言っている「この人ダメだったら……」の下りは個人的な意見でもありますが、スジは通ってるでしょ? ま、時と場合によりますが。
DM:さて。とりあえず部屋の前に来ました。
エリカ:では、ドアをノックしてみましょう。とんとん。
DM:「こら、何を殴るか!?」って、ドアが怒ってるけど(笑)。
ロベリア:違うだろーが!
DM:失礼。返事はしないよ。
コクリコ:どこかに合鍵とか隠してないかなぁ?
グリシーヌ:植木鉢の下とかポストの中とか?
エリカ:そういうのあります?
DM:あるわけないでしょ? それに、この中にこういった事を聞いてそうな人いないしねぇ。
エリカ:じゃあ、大神さんはどこ行っちゃったんでしょう? 鍵開けできそうなのってロベリアさんくらいですし。
花火:では、シャノワールへ戻ります?
コクリコ:そうしよっか。
DM:じゃあ、シャノワールへ帰るって事で。名前が出たところでロベリアの方に移そう。エリカが貰った名刺の住所を頼りにその診療所までやってきた。
ロベリア:外観はどんな感じ?
DM:どうもこうも、そこらにあるのと同じような建物だよ。
ロベリア:いくら何でも、朝っぱらから押し込み強盗って訳にもいかんしなぁ。
花火:押し込み強盗って(苦笑)。
DM:いくら何でもそれは許しません。外からわからなかったら中に入るしかないね。
ロベリア:そうか。じゃあ診療所に入ろう。やってるんでしょ?
DM:やってるよ。「診療中」っていう看板は下がってないけど。
ロベリア:それじゃ中に入って。「あの、ごめん下さい。先生はいらっしゃいますか?」
グリシーヌ:急に猫なで声出してどうした?
ロベリア:あの。サフィールモードって事にしといて(笑)。「魅力」が低いから。あ。そうだ。変装してるって事でいい? 技能持ってるし。
DM:……まあ、特に道具は持ってないし、化粧って意味ならいいよ。成功してるかどうかちゃんとダイス振っといてね。判定は「知力」だよ。
ロベリア:はいはい……よし。3なら文句ないでしょ。
DM:むう。ない。化粧してる間だけペナルティを無くしてあげよう。ちなみに待合室から「あれ? ロベリア。どうしたんだ?」って声をかけてきたのは、何と大神さん。
コクリコ:あれ? 出ないんじゃなかったの?
DM:(うるさいなぁ。予定が狂ったんだからしょうがないだろ)風邪引いてるんだから、医者に来るのは当然の選択だと思うよ。ちなみにアパートからここは近いし、それに、ここの先生の自宅は大神さんトコの隣だったりする。
花火:なんという御都合主義……ではなく偶然(笑)。
DM:悪かったな。
エリカ:じゃあ、先生がどういう人わかります?
DM:え〜とね。アジア系は確かだけど、名前の通り彼は中国人。現地の民間療法だけじゃなんだからって事でドイツで医学を学んで、その後フランスに移り住んだって事を大神が話してくれる。
グリシーヌ:民間療法って指圧、はり、きゅうなんかの事か?
花火:そうなんですか?
DM:そうだよ。現地独特の治療法も含まれる。ジャングルなんかでは虫にわざと刺されてワクチン代わりにするとかいうのもあるらしいんだけど。確か。
コクリコ:なるほど。
ロベリア:それはともかく。その先生に聞かれるとマズイからこっそりと言っといた方がいいかな。「かくかくしかじか」と。
DM:また「かくかくしかじか」かい。
ロベリア:とりあえず、警官がうろうろしてるって事で。
DM:わかった。それを聞いた大神さんは「それならさっきも来たよ。疑いは晴れたけどね」。そうしてると白衣を着た先生がヒョッコリ顔を出す。
ロベリア:ほう。これが「魅力」16の男。
コクリコ:身も蓋もないね、ホント。
DM:先生は「大神さんのお知り合いですか? こんな美人とお知り合いなんて、隅におけませんね」て笑ってるけど。
ロベリア:「まぁ、有難うございます」ってにっこり笑ってあげよう(笑)。
花火:まさしく悪魔の微笑。
ロベリア:一言多いよ(怒)。
エリカ:なるほど。特別に診ようと思ってた知人って大神さんだったんですね。
DM:そう。ま、お隣なら知人だしね。「このところ風邪が流行っているみたいですから、気をつけて下さいね。薬草茶でもどうです?」ってティーポットに入ったお茶を勧めてくるけど?
ロベリア:戴きましょう。
DM:じゃあ、待合室には3人分のカップが置かれ、お茶が注がれる。薬草入りって事でちょっと変な香りだけど。先生は「先に始めちゃってて下さい」って奥に引っ込んで行く。
ロベリア:よし。今のうちに毒見だ。え〜と、技能は何になるのかな?
エリカ:毒見って……。そんな事する必要あるんですか?
ロベリア:こういう時睡眠薬とかで眠らされて……ってパターンは多いしな。
DM:(さすが。場数踏んでるのは並じゃない。実際入れてるけど)そうだなぁ。一番近いのは「味見」だけど……毒はダメって書いてあるし。
グリシーヌ:それでいいのではないか? 毒はわからなくても、変な味かはわかる訳だし。
ロベリア:そうだな。
DM:じゃあ変かどうかは「味見」ね。ただし、薬草茶だからペナルティマイナス1ね。
ロベリア:え〜。アタシの「体質」9しかないんだぞ。8以下なんて……あ。4が出た。
DM:それなら薬草以外の味を感じた。それが何かまではわからない。
ロベリア:じゃあ小声で忠告を。「薬草以外の物が入ってる。気をつけろ」って。
DM:ロベリアの真剣な表情に大神さんは「何が入ってるんだ?」って小声で聞いてくるけど。
ロベリア:それ、どうすればわかる?
DM:その時……いきなり天井から何かポトンと落ちてきた。
ロベリア:落ちてきたって何?
DM:え〜とね。赤茶色で、短く切ったホースみたいなんだけど、それがビクンビクンてのたうちまわって動いてるの。
コクリコ:はぁ?
ロベリア:いや〜な予感がするけど、ちなみに上を見てみる。
DM:すると、今落ちてきたのと同じようなヤツが天井にいっぱい……。
ロベリア:うそぉっ!! 迷わず逃げる。
エリカ:なんなんですか? そのホースみたいなヤツって?
DM:ヒルだよ。それがたくさん上にびっしりと。
ロベリア:なにぃっ!!
コクリコ:知ってて驚いたんじゃなかったのね。
DM:大神さんも慌てて逃げるね。当たり前だけどさ。ちなみにドアには鍵がかかってて開かないからね。
コクリコ:絶体絶命のピンチ!
グリシーヌ:ヒルは確か火に弱いんじゃなかったか?
DM:ま、火で焼けばポロポロ落ちてくけどね。いくらロベリアでも、そんな風に1個1個やってる余裕はないよ。建物とか自分や大神さんごと燃やすなら別だけど。
ロベリア:やるか! ドアごとぶっ壊して逃げる!!
エリカ:過激ですねぇ。
DM:しょうがないよ。では、さっそくだけどイニシアティブ決めちゃおう。取れたら逃げる行動とってもいい。
グリシーヌ:戦わないのか?
ロベリア:相手してられるか、二人で!
グリシーヌ:む。確かに。
DM:こっちは5だよ。どうする?
ロベリア:嫌味なDMだな、こんな時にそんな数値……げ、1だ。
DM:それじゃあ上からヒルがポロポロと落ちてくる。うまい事回避してね。(ダイスをいくつか振る)う〜ん。1匹だけロベリアの手に。ダメージは1ポイントね。
ロベリア:そんな〜。HP少ないのに。
DM:じゃ、逃げる?
ロベリア:当たり前だよ。こうなったらドアに体当たりして強行突破だな。大神さんも手伝ってくれるんでしょ?
DM:そりゃね。でもロベリアが「大神さん」って言うのって変な感じだね。
ロベリア:余計な事は言わんでよろしい。
花火:じゃあ……やっぱり「筋力」で判定してドアを破れるか、ですね。
DM:有難う。二人で体当たりって事にしよう。この場合は1ラウンドに1回なら何度でもチャレンジ可能。ただし、ドアに意識が集中してるから「敵に背を向けてる」扱いでACに2ポイントのペナルティーだけど。
ロベリア:じゃあ、失敗したら……。
DM:もちろん、次のラウンドにもヒルが落ちてくる。しかも今度はさっきより当たりやすいよ。
ロベリア:よし。気合い入れるぞ! いくつ出せばいいんだ?
DM:大神さんの筋力が16。ボーナスはプラス2、か……。そうだな。D20で筋力の数値以下を出して。下回った数の合計が10を超えたらドアが壊れるって事にしよう。でも、大神さん具合悪いからボーナスはプラマイゼロって事で修正なし。
ロベリア:よ〜し。とりゃぁ! 7。うそっ! 2つか。
DM:大丈夫。大神さんが7を出したからどうにかクリア。ドアが吹き飛んで、ロベリアと大神さんは表に転がり出た。
ロベリア:ヒルはついてない!?
DM:(ダイスを振って)大丈夫みたいよ。
ロベリア:それじゃあとっとと逃げる! 脱兎のごとく。
DM:とりあえず、どこに?
ロベリア:シャノワール!
いきなりのヒルの襲来に、慌てて逃げる二人。いくら弱いと言っても、数の力にはかなわない。HPだって少ないし、装備もない。それに、こうしたテーブルトークでは、出会ったモンスター総てと戦うばかりでは到底生き残れない。時として交渉・逃亡も必要なのだ。
第一、モンスターの経験値というのはムチャクチャ少ない。それよりも大金を稼いだり(金貨1枚が1ポイントの経験値になるのだ)、一つの話をきちんと終わらせる方がたくさんの経験値をもらえる。モンスターの殺戮ゲームにしないための措置だろう。
てな訳で、二人が逃げられたところで、次回に続く。

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