テーブルトークリプレイ
『大神ぬきの午後 その壱』

これは、テーブルトーク「Dungeons & Dragons®(以下D&D)」で遊んだ記録である。
つまり、プレイヤーキャラクターを「サクラ3」のキャラでやってみた訳である。
ま、「なりきりチャット」とか「リレー小説」ってモノもある事だし、細かい事は言いっこなし。そのログとでも思って下さい。
配役はじゃんけんでやったのでそりゃもう(以下略)な事に。
ゲームのルールは1994年電撃ゲーム文庫刊『D&Dルールサイクロペディア』を使い、さらに多少「仲間内ルール」を加え、かなり突拍子もない事になっております。
説明もある程度ならちょこちょこと入れてるので、テーブルトークを知らない方もお気軽にサラッと流して読んでみて下さい。
と言っても、結構間違いに気がつかないでそのままやっちゃってる部分もあるかもしれません。見逃して下さい。

ダンジョンマスター(DM)……管理人・Kriff-Anotherd
DMとは「シナリオ制作・司会進行・状況説明役」の事。「サクラ3」未プレイにもかかわらずシナリオ制作をやりました。資料は集めたけど……。どうなっても知らんぞ、ホント。

エリカ・フォンティーヌ……いしかわけんじ さん
ノリはいいのだが、実は、テーブルトークはこれが初めてという彼。初めて故のボケが見事にエリカとマッチ……してるのか!?

グリシーヌ・ブルーメール……匿名希望 さん
管理人にとってテーブルトークの師匠。勘が異常に鋭いというかこっちの考えを読みまくるというか、ある意味DM泣かせ。進行に詰まった時は引っ張ってくれるので重宝ですけど。

コクリコ……黒川 さん
意外と(失礼!)しっかりしてるので、結構あってるかも。声を除けば(笑)。

ロベリア・カルリーニ……sai-ki姉 さん
管理人より年上の文字どおりの「姐さん」。テーブルトーク歴は長い大ベテラン。でも、ホントはボケる方が好き。

北大路 花火……sai-ki さん
テーブルトーク歴は長いが、ボケ行動の方が大好きな彼。大丈夫なんだろうか??

なんていうメンバーでお送り致します「サクラ大戦3 第X話『大神ぬきの午後』」
ゲームや同人誌等とはひと味もふた味も違う(と思う)「サクラ大戦3」をご堪能していただければ幸いです。

【キャラメイキングをするぞ】

各自、ダイス(さいころ)を振ってキャラクターシートの空欄を埋めている。いろいろ質問やボケをかましつつ、キャラクターが出来上がる
KRIFF(以降DM):さて。「サクラ大戦3 第X話『大神ぬきの午後』」を始める訳だけれども、配役はどうなった?
いしかわ(以降エリカ):ハイッ。エリカ・フォンティーヌで〜す。シャカシャカシャカ。
DM:なに、それ?
エリカ:マラカスです。まずはご挨拶のダンスを……。
エリカ以外:踊るな!!
エリカ:ダメなんですか?
DM:ダメ。時間ないから。じゃ、次。
匿名希望(以降グリシーヌ):グリシーヌ・ブルーメールだ。よろしく頼む。(エリカのキャラクターシートを見て)おいエリカ。何を考えている! 「知力」が8しかないではないか!? これだと修正がマイナスだぞ!!
エリカ:え!? だって、僧侶に必要なのって「知恵」だって聞いたから……。それに「体質」はHP決定にボーナスがつくから多い方がいいって。
DM:ちなみに「知力」にマイナス修正がかかると、普通の言語の読み書きができないし、数値によっては片言しか話せないんだけど。マイナス1なら「読み書き不得意」程度だけど。言ってなかったっけ?
エリカ:…………あ。そう言えばそんな事言ってた気もします。今から変えちゃダメですか?
DM:いくら初心者でもそれはダメ。
グリシーヌ:でも、それでよく日記をつけているな?
sai-ki(以降花火):だから日記が献立表もどきになるんですね。
グリシーヌ:あ。なるほど。その方がエリカらしいかもしれない。
エリカ:え〜〜(泣)。
グリシーヌ:しかし、こんなメンツで大丈夫なのか? DM殿は確かゲームはやっていないであろう。
花火:その彼にシナリオを頼んだ北大路 花火でございます。なまじゲームをやっていない人の方がいいネタを提供してくれそうな気がしましたので。……ぽっ。
DM:ほ〜。あのゴリ押しを依頼と言い切りますか。しかも、昨日の夜だぞ、電話あったの。
花火:それでもこうして作ってくれるんですから。
DM:……はいはい。じゃ、次。
sai-ki姉(以降ロベリア):ゲームやってないって言ったらアタシもなんだけど。だいたいは弟のを見て知ってるけどさ。
花火:大丈夫。ロベリアなら姉貴の地でそのままだから。
ロベリア:ま、あえて何も言うまい。
黒川(以降コクリコ):(一応それらしい声を出して)ボク、コクリコ。
コクリコ以外:(大爆笑。しばらく息ができない)
コクリコ:……悪かったな!
ロベリア:これって、絶対ミスキャストだよ。誰か取り替えろ、笑っちまってプレイにならん!
DM:大丈夫。文章化したら判らないから(笑)。ところで、クラス(職業)どうするの?
エリカ:わたしはもちろん「僧侶」です。これ以外あり得ません。
ロベリア:右に同じく。「盗賊」以外の何ものでもない。
グリシーヌ:私もだ。戦斧が武器なのだから「戦士」以外あり得ん。
コクリコ:斧を使うなら「ドワーフ」もあるけどね(笑)。
エリカ:ドワーフって種族じゃないんですか?
花火:種族なんですけど、このD&Dでは職業扱いなんです。小柄でずんぐりがっしりしてて、戦士と同等の能力を持ち、かつインフラビジョン(赤外線視覚)という能力があります。
エリカ:なるほど。お勉強になります。
DM:小柄でずんぐりしたグリシーヌなんて、私的に見たくないので却下。
コクリコ:うわ。想像しちゃった(泣)。ファンから爆弾送られても知らないよ。
DM:そういう君は何?
コクリコ:ハーフリング。小柄で身軽で。ピッタリじゃない。
ロベリア:(エリカに)「WIZARDRY」のホビットみたいなもんだよ。
エリカ:小人さんですか。カワイイから確かにピッタリですね(想像している)。
DM:(ホビットには「足の裏に毛が生えてる」ってトコは伏せといた方がいいな、多分)それじゃあ、花火はどうした?
花火:エルフです。麗しの魔法戦士……ぽっ。
コクリコ:とんがり耳の花火……それはそれでイイかも。
DM:まぁ、花火は弓が武器だし、このゲームで弓と言えば盗賊かエルフがお似合いだしなぁ。だけどエルフって……。
花火:成長が遅いのでしょう? でも1回限りのゲームなら問題ありませんから。
DM:でも、見事に魔術師がいないねぇ。
グリシーヌ:コクリコは手品師だから魔術師にしたらどうだ?
コクリコ:手品師と魔術師は違うよ。でも、エルフは魔法が使えるんだからいいじゃん。
DM:まぁ、そういう身も蓋もない言い方されちゃうとなあ。ま、いいか。それでは、始めま〜す。
DM以外:わー、ぱちぱちぱち(投げやりな拍手)。
てな感じでだいたいは始まるかと思います。この他にも性格を決めたり、特技(大して使わないだろうけど、雰囲気作りで)・特殊技能の確認とかいろいろあります。
性格とはローフル(自分より他人が大事。いわゆる良い人)・カオティック(何より自分が大事。いわゆる悪い人)・ニュートラル(二つの中間)の3つのどれかなので、詳しくはこちらを参照の事。


【お話の始まりなんだぞ】

DM:さて。君たちは5人揃ってシャノワールに帰ってきました。
グリシーヌ:待て。もう5人揃ってるという事は、ゲームでいうと5話以降か?
DM:一応ね。でも細かい事は考えなくていい。そんな事気にしてたら同人誌だって書けやしない。
花火:名言ですね。
エリカ:ところで、大神さんはどこなんですか? 出てこないんですか?
DM:それをこれから話すんだ。実は、結論から言ってしまうと、彼は出てこない。
DM以外:えーっ!!
DM:出てこれない、と言った方が正しいかも。という所で、話は物語中で1時間ほど前に遡る(と言って用意していたト書きのシナリオを読みはじめる)。
エリカ:大神さん! 風邪をひいたって聞いたので、みんなでお見舞いに来ちゃいました!
大神:えっ!? そ、そんなに気を使わなくてもいいのに。
花火:とりあえず、おかゆでもお作り致します。……ぽっ。
エリカ:あ。わたしもお手伝いしまーす。確か、お米を洗うんでしたよね。がしがしがし。
花火:あの……洗剤で洗わないで下さい。
エリカ:え。そうなんですか。ごめんなさーい!
コクリコ:イチロー。早くよくなってね。
大神:ありがとう、コクリコ。
エリカ:病気はわたしの力でも治せないので「かいふくダンス」を踊ります。ロベリアさんもいっしょに。ほら(マラカスを渡す)。
ロベリア:な、なんでアタシが!? 誰がやるか!
グリシーヌ:エリカ。こんな狭い所で踊るんじゃない!
エリカ:大丈夫です。シャノワールでダンスの練習してますから。
コクリコ:関係ないと思うけどな。
エリカ:いっきま〜す。♪大神さん、大神さん……キャァァッ!(エリカ転ぶ)いたたた。頭ぶつけちゃいました〜。
コクリコ:言わんこっちゃない。
ロベリア:(部屋を見回して)……ったく、金目のものはナシかよ。しけてんなぁ。
グリシーヌ:ロベリア! 私の目の前で堂々と盗みを働こうとはいい度胸だ。そこへ直れ!!(戦斧を出す)
大神:お願いだから、静かに寝かせてくれ……。
DM:以上。大神さんの部屋からお伝え致しました。
コクリコ:ひっどーい(笑)。
DM:ちょっとサイトを見て思いついたのだ。無断転載。平謝りモンです。
ロベリア:つまり、病気だから来れないって事にした訳か。人数足りないからしょうがないか。
DM:そうとも言う。では、話を続ける。シャノワールに帰ったところでグラン・マに呼び出される。
グリシーヌ:なんだ、またエリカが何かやらかしたのか?
DM:そうじゃない。どうやら事件らしいのだ。
グリシーヌ:では、その事件とやらを聞こうじゃないか。
DM:じゃあ、指令室へ入った、と。グラン・マとメル&シーもいるよ。
花火:じゃあ、好感度アップのためにメルくんに……。
コクリコ:それ、プレイヤーとしての発言でしょ。今あんたは花火なんだから。
エリカ:そうそう。なりきるのがテーブルトークって言ってましたよね。
ロベリア:なりきると言うか、なったつもりと言うか、そんな感じだが。で、事件ってのは?
DM:(有難うロベリア。脱線するトコだった)簡単に言ってしまえば事件は2つ。行方不明事件と殺人事件なんだ。
エリカ:それって警察の仕事じゃないんですか? わたし達は帝國……じゃなくて巴里華撃団なんですから(笑)。
コクリコ:わーいわーい。まちがえてやんの〜。
エリカ:ちょっと間違えただけなのに〜(泣)。
DM:(無視して)話を続けるけど、警察の方では行方不明はともかく、殺人の方は巷を騒がす「怪人」の仕業らしいと見ているようだね。
コクリコ:え? 怪人ってウサギ・ヘビ・ライオン・サソリ・カラス・イカ……。
グリシーヌ:せめて名前で呼んでやれ(苦笑)。DM殿が言ったばかりだろう。ゲーム本編は考えなくていい、と。
花火:そうです。DMはゲーム未プレイなんですから。
コクリコ:テレビシリーズのアナザーストーリーを映画とかOVAでやるようなもんですね。
エリカ:いいんじゃないですか。隠されたストーリーって感じで。
DM:そうそう。そう解釈してくれると助かります。
エリカ:だったら、初心者って事で、ちょっとくらいおまけして下さいね。
DM:……前言撤回。
ロベリア:それで、その殺人事件の方だけど、被害者の死因はわかるか?
DM:失血死だね。全身の血を抜かれてる。特に派手な外傷はないんだけど、胃や腸とかに穴が開いている人とか、首筋に外傷があったりとか様々だけど。
エリカ:わかりました! 犯人はヴァンパイアですね。でも、献血屋さんの可能性も。
ロベリア:(呆れながら)んな訳ねーだろ(笑)。
花火:そもそもヴァンパイアはともかく「献血屋さん」って、どういうものなんでしょう?
グリシーヌ:「献血はいかがですか?」等と言って街中を歩き回っている訳か? ギャグにもならんぞ。
コクリコ:それ、池袋でやってるよ。タダでジュース飲み放題だしお菓子食べ放題。看護婦さん美人だし。
エリカ:え!? じゃあプリンも食べ放題なんですね!?
DM:(無視して)ま、前情報としてはそんな感じ。グラン・マが「こんな時にムッシュが風邪とはね」ってため息ついてるけど。
ロベリア:ま、バカは風邪ひかないっていうから。これでしばらく「バカだからか?」って言えないねぇ(笑)。
コクリコ:でも、ゲームの季節だと夏だけど?
全員:(大爆笑)
コクリコ:レベル2からヴァンパイアが相手ってのはムチャクチャだよね。
グリシーヌ:まだそうと決まった訳でもない。だが、それだけではあまりにも情報が少なすぎる。もっとないのか?
DM:だから情報収集を命じるんじゃないか。何のために呼んだと思ってる。とりあえず、2人ずつペアになって街で情報収集。どういうペアになるのかは任せるけど、(ダイスを振って)エリカだけはここに残ってもらう。
ロベリア:また、マシンガンをぶっぱなされちゃかなわないってか?
グリシーヌ:出歩かない方が街も安全だろう。
DM:それはいくらなんでも酷いよ。事実だけに(笑)。
エリカ:さり気なく一番酷い事言ってません?
DM:それは冗談として。エリカは今日シャノワールでレビューだから、出かけられても困る。
コクリコ:そういう理由ですか。ネコダンスですね(笑)。
DM:そういう訳で、残りの4人でペアを決めてね。じゃんけんでもあみだくじでもいいから。
結局じゃんけんの結果ロベリア&花火。グリシーヌ&コクリコというペアに。もちろんロベリアはグラン・マとこの聞き込みの報酬の相談も忘れない。
ロベリアとグリシーヌを入れ替えた方が良いような気がするが、4人は巴里の街に消えていった。
DM:じゃあ、まず……(ダイスを振って)ロベリア&花火さんチームから。
ロベリア:アタシらはクイズ番組に出てんじゃないんだから。ところで、装備や魔法はどうするんだ?
花火:そうですねぇ。まずプレートメイル着て、ロングボウと矢も持って。知ってるのが「リードマジック」と「マジックミサイル」と「スリープ」しかないですから。そのうちの2つだけだと、やっぱり「マジック・ミサイル」と「スリープ」でいきましょう。
DM:おいおい。単なる探索でそこまでの重装備するんかい(笑)。
解説を入れておきます。D&Dの魔法はちょっとややこしいんです。例えて言うなら入れられる弾丸の数が決まっている拳銃と思えばいい。
自分の「知っている」魔法の中から「使う」予定の物を「記憶」する必要があるのです。この「記憶」は1日1回充分休息をとった後(だいたいは朝)に行う事ができ、この「記憶した呪文」を「使える」呪文とします。
そして、一旦使うと「記憶」の中から消えて、次に充分休息をとった後にもう1回覚え直さないとなりません。これが「拳銃」と例えた所以です。
ちなみに僧侶の場合、1レベルの間は呪文が使えません。2レベルになって初めて僧侶呪文第1レベルに属する魔法全部の中から1つだけ「記憶」して使えるようになります。使った後「記憶」の中から消えるのは魔法使いと同じです。
そのため、みんな2レベルからゲームを開始した訳です。おわかり戴けましたでしょうか?
ロベリア:あ。そっか。これは「サクラ大戦」だっけね。
花火:でも、用心に越した事はないです。DMの事ですから「ワンダリング・フライング・ヒュージ・レッド・ドラゴン(さまよえる空飛ぶ超大型赤竜)」を出してきてもおかしくないですから。
エリカ:エ!? ドラゴン出てくるんですか?
ロベリア:D&Dのルールだとウィルダーネス・アドベンチャー(荒野での冒険)のモンスター遭遇表にドラゴンが入ってるから。8分の1の確率。
グリシーヌ:よ〜しDM、そこへ直れ。叩き斬る。
DM:ここは都市内だからシティ・アドベンチャーだよ!
コクリコ:どうだか(笑)。
DM:ちょっと待てぃ!! いくら何でもそこまで横暴な事するかい! 頼むから脱線しないでくれ!!
グリシーヌ:(ものすごく不満そう)……わかった。
DM:じゃあ、話を戻そう。巴里の街のどこを探す(そう言って地図を広げる)? シャノワールを中心として西側か東側かだけど。
花火:ここはロベリアさんにお任せします……ぽっ。
ロベリア:ぽっ、かい(笑)。じゃあ、街の東側。ブルーメール邸とかサーカスのある方。
DM:りょーかい。やっぱり警察署のある方は避けるか。
ロベリア:当たり前だよ。わざわざ捕まりに行くバカがどこにいるっての!
花火:(ロベリアのキャラクターシートを見て)でも、「魅力値」が4しかないとなると困りますね。
ロベリア:悪かったな! ダイスで出た目を当てはめてくとそういう事もあるんだよ!
コクリコ:さすが悪党(笑)。
グリシーヌ:こういうのも「見事なロールプレイ」と言うのだろうか?
DM:魅力値が4って事は、対人関係の判定にペナルティマイナス2だよ。
ロベリア:じゃあ、そういう事は全部花火に任せる。なんたって一番高い。
花火:それでも12ですけど。最大が18だから可もなく不可もなく。
DM:しっかし。これでホントに大丈夫かな。ま、とにかく街で聞き込みって事でいいか?
ロベリア:問題ナッシング。あ。出かける前に被害のあった所を聞いとかなきゃ。
エリカ:さすがロベリアさん。手慣れてますねぇ。
コクリコ:影の参謀だからなぁ。
DM:二人が行く地域では……「水辺の橋」と「公園」だね。
花火:では、公園へ行ってみましょう。
DM:はい。じゃあ公園についた(と言っても、ここには何にもないんだけど)。結構人が多いね。
ロベリア:早いな。じゃあ、聞き込み開始といこうか。花火、頼む。
花火:はい、わかりました。まず、そこでハトの餌を売っているおじさんに(笑)。
DM:いるんかい(笑)!
花火:すみません。かくかくしかじかという訳なんですが、心当たりは……?
DM:かくかくしかじかって(笑)。じゃあ、失血死の死体があった時の事を聞くって事でいいね?
花火:はい……ぽっ。
DM:「ぽっ」はいいから。でも、そのおじさんは知らないみたいだ。ところでロベリア。D100振ってくれる?
D100というのは10面ダイス2個を使って1〜100までの数字を決める時に使われる。もちろん100面ダイスというゴルフボールもどきも存在するのだが、10面ダイス2個を使う方が早い。一方を10の位もう一方を1の位としておくのだ。
ロベリア:は?(コロコロ)え〜と69だけど。
DM:わかった(メモしてる)。じゃ、続けて。
花火:では、そのおじさんにチップを渡してみましょう。反応が変わるかもしれないですから。
グリシーヌ:袖の下か。なんか、花火のイメージじゃないなぁ。
花火:まあ、こういうテーブルトークでは常識ですから。
DM:でも、そのおじさんはお金を突っ返すよ。「知らんもんは答えようがない」って。
エリカ:残念ですね。次の人に行ってみましょう。
DM:この場にいない人間がツッコミを入れないように。でも、残念ながらここでの聞き込みはもうできそうにない。
コクリコ:そりゃまたなんで?
DM:だって、花火の後ろの方が騒がしいんだもん。「待てーっ」とか聞こえるし。
花火:じゃあ、そちらを見てみましょう。
ロベリア:まさか……。
DM:そう。財布片手にロベリアが走っていくのだ。花火を置いて。
ロベリア:スリかい!! しかも失敗してるし。
DM:だって、レベル2の盗賊のスリ成功確率25%だし。まあ簡単という事でプラス30%の修正を加えたんだけど……。69じゃね〜。
グリシーヌ:帰ってきたら叩き斬る……。
ロベリア:なんだって!? それじゃあ部屋にも帰れない(爆笑)!! せっかくいろいろ「技能」をとったのに〜〜(泣)。
コクリコ:技能? (ロベリアのキャラクターシートを見て)「イカサマ」「賭博」「罠」「変装」。この状況で役にたつかな?
ロベリア:うるさい! ツッコムなら助けろ!
DM:じゃあ、追っ手をまくまで走ってて。花火はどうする?
花火:走って追いつけそうにないですし、一人では物騒なので帰りましょう。携帯キネマトロンでメッセージ送ります。「先に帰ります。花火」。
DM:(おいおい。「水辺の橋」には行かないのかい)まるでポケベルだな(笑)。一区切りついたところでグリシーヌ&コクリコチームへいってみようか。
コクリコ:は〜い。やっと出番だ。
グリシーヌ:ところで、ロベリアたちが東側へ行ったという事は、必然的に西側へ行く事になるのだが、被害のあった所はどこになる?
DM:「バー」の周辺と「図書館」前とかだね。
グリシーヌ:最初の二つは水のそばだから、今度の怪人は魚かと思っていたんだが。ゲームにはいないし。
コクリコ:イカはいるけどね。
エリカ:血を吸うお魚さんですか? 吸血魚。すっかりホラーですねぇ。
DM:さぁ? それは探してもらわないと。
グリシーヌ:それもそうだな。効率は悪いが、二人でいっしょに行こう。襲われた時一人だと袋叩きにされかねんからな。
コクリコ:そろそろ何か起きてもおかしくないし。
DM:(じゃあ、起こしてやろうか)え〜とね。図書館の前に来た時に、グリシーヌに声をかけてくる人がいるんだけど。
グリシーヌ:だいたい見当はつくが、一応聞こう。どんな輩だ?
DM:いわゆるどこにでもいそうな一般庶民の男だよ。ただし、目つきは相当ヤバそうだ。
コクリコ:まさかヤク中!?
グリシーヌ:その可能性もあるが、単なるナンパ野郎か追い剥ぎのたぐいだろう。
DM:そのとおり。もちろん一人じゃなくて複数犯だよ。その数5人ばかり。「ね〜ちゃん。ケガしたくなかったら金目のモンおいてきな」ってなもんだ。
グリシーヌ:警察署のすぐ側でいい度胸だな(苦笑)。ケガさせるつもりならやってみろ! と戦斧を構える。
DM:どっちがいい度胸だ。
コクリコ:うわ、好戦的。5対2で勝ち目なんてあるの!? こっちレベル2だよ!
グリシーヌ:心配いらん。進む道とは戦って切り開くものだ。
DM:(おいおい。情報収集が目的なんだけど。しょうがないか)グリシーヌが戦斧構えちゃったので、チンピラたちもナイフを出して攻撃体制に入る。
エリカ:わぁ。初戦闘シーンですね。そう言えばD&Dの戦闘って……。
DM:ま、簡単だからそこで見ていなさい。
グリシーヌ:会話ができるくらい接近しているならイニシアティブ決定からだな。D6を振って……あ、3だ。
DM:フフフ。……あ。こっちは1だ。
ロベリア:なんて低レベル。
グリシーヌ:スリそこなった泥棒に言われたくない! では、目の前の男に攻撃……と、そうだ。情報を聞きたいから手加減したい。
DM:じゃあ、実際に受けるダメージは4分の1(端数切り捨て)にしよう。つまり男が10ポイントのダメージを受けたらば実際には2ポイントのダメージって事だ。だけど男は10ポイントのダメージを受けたって思ってるってこと。でも、戦斧を使うなら命中判定にペナルティ3だよ。本身でやるんだから。
エリカ:なるほど。
グリシーヌ:了解した。では、その男のアーマークラス(防御力。以降AC)はいくつだ。
DM:6だけど。
グリシーヌ:わかった。え〜とTHAC0は19だから……19−6−3で10以上ってことか。でも、ペナルティがあるから13か。てい……よし、14。問題なく命中。
コクリコ:おお。鮮やか。
グリシーヌ:ダメージは……ポールアックスはD10だから……あ、渋い6だ。でも、ボーナスを足して9。どうだ。
DM:うわ。一撃かよ。男Aはあえなく昇天なさいました。でも、実際には気絶しただけだけどね。
エリカ:すご〜い。では、ここでよろこびのダンスを……。
エリカ以外:踊らなくていい。
文章で書くとややこしいんだけど、やってみれば簡単なんです。
壱 まず先攻後攻をD6を振って決める。数字の多い方が先攻。
弐 THAC0(To Hit Armor Class 0・「AC0の敵に命中させるには」の意)という命中判定表の数値(グリシーヌの場合は19)から敵のAC6を引く。そして、この場合接近戦の武器を使っているので、筋力のボーナス3ポイントをさらに引いて10。D20を振って10以上なら命中となる訳だ(今回は本物の刃物で手加減という事なのでペナルティプラス3ポイントですが)。
参 そしてダメージ計算。グリシーヌのポールアックスの攻撃力はD10。それに筋力ボーナス3ポイントを加えるから6+3で9ポイントが相手に与えるダメージとなるのだ。
DM:男の一人が倒された事で、チンピラたちがちょっとびびりまくってる。
コクリコ:でも、容赦はしないのだ。正義は我にあり! でしょ?
グリシーヌ:無論! 行け、コクリコ!
コクリコ:はいは〜い。じゃあその後ろの男Bにダガーを投げよう。19−6−1−1でこっちは11以上。てい。11。ギリギリセーフ。ダメージは……うわ〜最悪。1しかない〜〜(泣)。
DM:じゃ2ポイントのダメージだね。それならいくら何でも倒れないよ。
コクリコの場合ダガーを投げるので「飛び道具扱い」になります。
壱 THAC0の数値(コクリコの場合は19)から敵のAC6を引く。そして、敏捷性のボーナス1と近距離射撃ボーナス1をまとめて引いて、こっちは11以上で命中。
弐 そしてダメージ計算。コクリコのダガーの攻撃力はD4。それに筋力ボーナス1ポイントを加える(力一杯投げたってこと)から1+1で2ポイントが相手に与えるダメージとなるのだ。
DM:そして、チンピラチーム(笑)のラウンドなんだけど……士気チェック(ダイスを振る)。うわ。仲間を置いてみんな逃げた!
全員:(大爆笑)
コクリコ:逃げるかい!!
グリシーヌ:放っておけ。まずこいつを尋問する。ええい、起きろ、貴様!(げしげし)
グリシーヌとコクリコで尋問(拷問の間違いだろ:ロベリア談)をしたが、結局何もわからなかった。その後に「バー」の周辺にも足を運んだが、収穫はナシ。
あ〜あ。ダイスの目によって情報を引き出せるようにしたんだけど、二人ともダイス運悪くて……。結局無駄足。しょーがない。フォローしなくちゃ。これもDMの仕事なのだ。
大急ぎでいそいそとメモに表を書いている間に、次回に続く。

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