『真夏に咲いたライラック 後編』
外へ出ると、辺りは日が暮れかかっていた。西の空は赤く、綺麗な月も見えている。明かりがなくても、目が慣れれば不自由しないだろうし、明かり代わりに火を焚いている。
周囲を見回してみると、死んだ者はいないらしい事が判った。敵に関しては見当たらないので判らない。死体を埋めるなりしたのだろう。
ゲリラの戦士達は、壊れたトラックからさっき「確保」したトラックに荷物を詰め替えるのに忙しそうだ。
何をしたらいいのか、何をすればいいのか判らず、その場で立ち尽くす彼女に、カシムが声をかけた。
「これを、持っていろ」
そう言って渡したのは、一丁の銃だった。ガンマニアではないから名前までは判らない。
「自分の身を、守る事が、できない者は、決して、生き延びる、事は、できない。万一の時は、それを使え」
彼女はきょとんとして銃を受け取った。
見た目よりずしりと重みのある金属の塊。この引き金を引けば人を殺せる武器、拳銃。彼女は一応それをウェスト・ポーチにしまっておいた。
だが、そこでカシムの顔を見た時、彼が変に汗ばんでいる事に気づいた。最初は激しく動き回ったからだと思ったが、そうではないようだ。
「カシム。火のそばに来て」
リラは彼の腕を掴むと、問答無用とばかりに火のそばに連れてきて、無理矢理座らせる。
それから彼女はじっと彼を観察していたが、やがて外套と上着をばっとめくった。
「やっぱり」
彼の右脇腹から血が滲んでいた。さっきの戦闘で被弾したのだ。幸い出血も少ないし、弾がかすっただけなので怪我としては軽い。
「なんで、怪我を放っておくんですか?」
「大した怪我ではない。血が止まれば直る」
「大した怪我です。すぐに治療をします。ここを動かないで下さい」
リラはそばのゲリラ戦士にかけあって治療に必要な薬などがないか聞く。
あいにく薬はなかったが、最低限の医療キットはトラックの積み荷の中にあった。その封を切り、慣れた手つきで血止めをし、包帯を巻いていく。
「……これでよし。しばらくは派手に動かないで下さいね。傷口が開いて治りが遅くなります」
確かに自分の方が年上だが、それにも増してお姉さんぶった口調できっぱりと言う。
「……済まない」
うつむいたまま、カシムはぽつりと言った。だが、それを聞いたリラは涙をこぼしてしまった。
『わたしでも、この戦場で役に立つんですね』
そのフランス語での呟きが聞こえなかった彼は、なぜ泣き出したのか判らずきょとんとしていた。それを見た他の戦士達が「何泣かしてるんだ」と冗談ぽく責める。
荷物を積み終わり、無線でどこかと――おそらく拠点としている村か基地か――連絡をとっているようだ。そんな時、戦士の一人がビックリした声を上げていた。彼は無線機を握ったまま、
「大変だ! 村がASに襲われている!」
その一言で皆は火を消し、急いで全員で車に乗り込んだ。


村といっても、村人全員がゲリラの一員という訳ではない。
彼等のようなゲリラに食料などを提供したり、いざという時にかくまったりする協力者のいる村の事である。
その村までは、ここから車を飛ばしても、山道を四時間も走らねばならないという。
それにAS――アーム・スレイブといえば陸戦で最強の人型兵器だ。山の中でも砂漠でも場所を選ばず侵攻できる。生身の歩兵では足止めすらできないだろう。
あまり表情の変わらない白人男性が渋い顔をしている。何を考えているのかは知りようもないが、何か後悔しているような、そんな雰囲気があった。
他の戦士達も、自分達が到着を待つ事しかできない歯がゆさの中、銃の手入れをし、弾を込めている。
また何もする事がなくなってしまったリラは、そんな彼等の様子をじっと見つめていた。
『申し訳ない。無関係な君を、我々の戦いに巻き込む事になってしまうとは』
白人男性がリラに向かって謝罪する。リラはどうにか笑顔を作ると、
『そんな。生き倒れてたわたしを助けて下さったじゃないですか。おあいこですよ』
『そう言ってもらえると、いくらか気が楽だ』
ぽつりと呟いた後、運転席に向かって「急ぐように」と命じる。
だが、これはトラックだ。それに荷物と人をたくさん乗せている。
おまけにもう辺りはすっかり日が暮れてしまっていた。慣れた道とはいえ、夜の山道ほど危険なものはない。スピードが出せる訳がない。
それでも車は村に急いだ。たとえ間に合わなくても、急がねばならないのだ。
『しかし、ASで村を襲うなんて。非常識じゃありません?』
高い塀に囲まれた城や砦ならともかく、普通の山村にASで攻め込むなど、素人考えでも常軌を逸しているとしか考えられなかった。
『そういう者もいるという事だ』
激しい怒りを抑えるような雰囲気で、白人男性が呟いた。
だが、あと三〇分ほどで着くという時に、車がいきなり停止した。なぜかと思う間もなく運転手がハンドルに拳を叩きつけて叫んでいる。
「燃料切れだ!」
運転手のその怒鳴り声を聞いて、白人の男はリラに車を降りるよう伝えた。
それから皆で少し相談する。村はASによって攻撃を受けている。だが自分達にASに対抗できる装備はないし、村の外れに隠したASもどうなっているか保証がない。
しかし、村には行かねばならない。白人男性は、最長老の老人と少し会話をした後、皆に言った。
「二手に別れよう。ボハーリーとカシムはお嬢さんを連れて行け。隠したASに乗って村の裏側から入るんだ。残りは私と共に正面から入る」
「彼女も連れて行くのですか?」
誰かがそう訊ねた。
「我々とは無関係でも、この場に残しておくのは危険だ。村に攻め込んできた敵兵と遭遇する可能性もある。そうなった場合、彼女の安全は保証できんし、後味も悪い」
重苦しい口調でそう言うと、それを簡単に英語で伝えた。リラは了承するしかない。
「では一時間後、村で落ち合おう。彼女をしっかりと守れ、いいな」
カシムが小さくうなづく。
そこで、一行は二手に別れた。


殆どないも同然の道を、ゆっくりと登って行く。
まだまだ体力が回復しきっていないリラに合わせて、進行スピードは遅い。それでもカシムは何も言わず、淡々と周囲を警戒している。ボハーリーと呼ばれた中年男性も「気にするな」と言いたそうに微笑んでいる。
足元は人の幅しかない崖も同然の場所だ。空が晴れて月が出ていなかったら、足を踏み外して真下の細い川に真っ逆さまに落ちているだろう。
「村は、大丈夫でしょうか?」
リラはぽつりと呟いていた。しかし二人とも何も言わなかった。ASに攻め込まれているのだ。おそらく村は全滅に近い状態だろう。
戦闘はド素人の彼女にもそのくらいは判っていたが、そう言わずにはいられなかった。
やがて足元の道幅が広くなり、階段の踊り場のような空間に出た。雲が流れて月が隠れ、真っ暗になる。
「あと少しだ、お嬢さん」
ボハーリーがゆっくりとした言葉をかけ、彼女の肩を叩く。
その時だ。いきなりカシムが暗闇に向けて銃を構えた。暗闇の向こうから誰か来たのだ。
闇に慣れた目で見れば、それは間違いなくソ連の兵士だった。カシムは迷わず発砲した。同時に暗闇の向こうから銃声と弾丸が返ってくる。
カシムは身をかがめて難なくかわす。だが、直後にボハーリーのくぐもったうめき声がする。
その時、リラの腹部を鋭い衝撃が貫いた。それに驚く間もなく膝ががくりと折れ、身体が後ろに傾く。
「お嬢さん!」
ボハーリーの声が遠ざかる。その筈だ。自分は足を踏み外して崖から落ちているのだから。
細い川に着水すると同時に、リラの意識は薄れて消えていった。


リラが目を開けた時、彼女は粗末な毛布に寝かされていた。腕を見ると点滴のチューブが見える。服もいつの間にか着替えさせられていた。これは見覚えがある。医療ボランティア・チームでよく使われるものだ。
荷物であるウェスト・ポーチは枕元に置いてあった。
『意識が戻りました』
目を開けた彼女を見ていた女性が、テントの外にいる人物に声をかけた。
入ってきたのは東洋人の中年男性だ。
『意識が戻ってよかった。あなたは川上から流されてきて、まる一日眠っていたんですよ』
落ち着いた、優しい声で話しかけてくる。
『おまけに体力も相当低下している。今はゆっくり休みなさい』
リラが何か言おうとすると、
『我々は日本から来た医療ボランティア・チームだ。安心していいよ』
そう言うと、テントを立ち去った。
どうやら助かったらしい。そう思うと、急に全身が疲労感に満たされ、彼女は再び眠りについた。
地雷の時といい崖から落ちた時といい、つくづく自分の悪運の強さには恐れ入るばかりであった。

     ●

「……それでも、立てるようになるまで三日はかかったんですけど」
野菜サラダを食べ終わり、フォークをテーブルに置いて話を締めくくった。
まるで自叙伝でも書けそうな彼女の話に、かなめの口がぽかんと開いている。
宗介は彼女の話を聞いて、どこか安堵したような顔を浮かべていた。
生真面目で責任感の強すぎる宗介の事だ。「しっかりと守れ」と言われていたのに守れなかったのだ。彼の性格を考えるなら、随分とその事を引きずった筈だ。
守れなかった事は確かに落ち度だし悔やまれるが、こうして彼女は生きていたのだ。テレビ画面を見た時彼が驚いたのは当然だろう。
「それからそのチームに合流して、その後、助けてくれた日本人の医者と去年結婚して、今は日本住まいなんです」
リラはなぜか、ほんの少し悲しそうに言った。
「そうなんですか。おめでとうございます、リラさん」
かなめが疑問に思いつつも笑顔でそう言うと、リラも軽い調子で「ありがと」と短く返す。
「なぜ……助かったのだ?」
宗介が静かに言った。
「君は撃たれたのだろう? それに体力もかなり疲弊していた筈だ。さらに川を流されている。とても体力が持ったとは思えん」
宗介の疑問ももっともだった。リラはうんうんとうなづくと、
「そうだ。食べ終わったら家に来てほしいんですが。もちろん二人で。ここから近いから大丈夫ですよ」
朗らかにそう言った時、注文していた魚料理が到着した。


料理を食べ終わって店を去る。宗介とかなめはリラに連れられて、そこから細い道を一〇分ばかり歩く。
「あそこです」
リラが指差す先には「石谷(いしや)診療所」という看板があった。リラはその隣の家に二人を招いた。
「お、お邪魔します……」
かなめと宗介は少々緊張を隠せないまま応接間に案内される。医者だからどんな豪華な部屋かと思ったが、意外と普通の家庭と大差ない。青を基調に整えた地味目の部屋である。多分趣味なのだろう。
少ししてからリラは人数分のアイスティーを持って戻ってきた。
「じゃあ、もう少し待ってて下さい」
そう言うと、再び応接間を出て行った。かなめは出されたアイスティーをストローですすっている。
「ソースケ。リラさん、どうしてあたし達を家に誘ったのかな?」
「少なくとも、俺達を罠にはめるためとは思えんのだが」
その答えを聞いて、かなめはガクッと首を倒す。それから空いた手で宗介の頭をこつんと叩き、
「そのうたぐり深いのやめなよ。リラさんがあたし達に何するってのよ?」
「判らんから、用心しておけという意味だ」
「あー、はいはい」
かなめは反論する気も失せた。
それからかなめは棚に置かれた写真立てにそっと近づく。写真に写っているのはリラと中年の日本人男性だ。
写真の中の二人は、かなめから見ても羨ましいくらいに幸せそうに微笑んでいた。
(旦那さんかな? もしかして、年の差カップルってやつ?)
考えてみれば、彼女が崖から落ちたからこそ、この旦那さんに出会えたのだ。人間の未来など、何がどう変わるか判らない。人間万事塞翁が馬とは、まさしくこの事だ。
やがてリラが戻ってきた。かなめは慌てて元の席に戻り、リラは二人の正面に座って、持ってきた物をそっとテーブルの上に置いた。
「カシ……いえ、ソースケくんには、これを」
リラは箱の中から、布に包まれた物をそっと取り出した。ゆっくりと布を取ると、そこから出てきたのは古ぼけた一丁の拳銃だった。
銃身に小さなくぼみがあり、そこを中心にヒビのような傷が入っている。銃のあちこちが薄汚れ、ところどころに錆が薄く浮いていた。もう使う事はできない壊れた銃。
ソ連製のマカロフという銃だ。ソ連製拳銃で有名な、トカレフの後継として作られたものだ。
三年前のあの時、宗介がリラに渡した銃に間違いなかった。
「これは……」
「あの時、ソースケくんがわたしに渡してくれた銃。わたしは銃なんて扱えなかったけど、これが命を助けてくれた事に変わりはないから」
宗介には、小さなくぼみは弾が当たった跡だと判った。あの時彼女は銃をウェスト・ポーチに入れていた筈だ。そこに弾が当たって、致命傷にならずに済んだ訳だ。
彼の中でずっと引っかかっていた謎がようやく解けた。ささいな小さな偶然が重なったとはいえ、それが人間一人の命を充分左右する事もあるのだ。
「しかし、壊れてるとはいえ、よく税関通ったわね」
かなめが色々な意味で呆れていると、
「実は、旦那と日本に来た時、医療機材にこっそり混ぜたんです」
それを聞いてかなめは吹き出した。いくら壊れているとはいえ、銃を持ち込むのは日本の法律で禁止されているのだから、検査も厳しい筈だ。
「旦那は『捨てろ』って言ったんですけど、捨てられなくて……。でも、もうわたしには必要ないし、今日会えたのも何かの縁。壊してしまったけどソースケくんに返したいんです」
「……わかった」
彼は短く答え、その銃を受け取った。
「それからこれを、チドリさんに」
いきなりポンと放ってよこしたのは、小さな花束だった。かなめは素早くキャッチする。
色褪せた白いレースで飾られた、ライラックのドライフラワーの小さな花束。いや、花束ではない。これは――
「あの。これってもしかして……」
「ブーケですけど」
結婚式の時に花嫁が持っているあれだ。式の最後に花嫁が投げ、それを受け取った女性は幸せな結婚ができるという言い伝えがある。
「わたし……ホントは両方の親に結婚を猛反対されたんです。二十歳前という事と、相手が外国人で、しかも一〇歳以上の年の差という事で。そんな訳で駆け落ち同然での結婚だったんです。それも二人だけの式で……」
結婚の事実を話した時、ほんの少し悲しそうだったのはそれが理由だろう。
「だから、チドリさんには……」
リラは小さく微笑んだまま、きょとんとしているかなめを見つめている。自分はあまり祝福されない結婚だったからせめて……という気持ちがかなめにも伝わってきた。
「はぁ。その。あの。どうも……」
かなめは顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。別にこれから宗介と結婚する訳でもないのに、急に気恥ずかしくなって、どちらの顔もまともに見られない。
「どうした、千鳥。顔が赤いが、熱でもあるのか?」
「ないわよっ!」
唐突に不粋な事を言った彼を条件反射的にぱこんと叩く。それを見たリラが、
「チドリさん。一ついい事を教えましょうか?」
「い、いい事って?」
かなめが赤い顔のままおうむ返しに訊ねる。
「恥ずかしがるって事は、それだけそれが大事だって事ですよ」
少しだけ意地の悪そうな笑顔でそう言う。
「特に、照れてうまく言えないっていうのはね」
かなめが言葉に詰まって表情が凍りつく。
「え、あの、これは、その、あの、え〜と……」
何か言いたいが頭がごちゃごちゃしてうまく言葉が出てこない。
「日本人の悪いクセですね。『好きだ』って言葉は、言えるうちにたくさん言うべきですよ。人間なんて、いつ死んじゃうか判らないんですから」
それからリラは棚に置かれた写真立てに目をやると、少し悲しげな表情になる。
「でも、わたしもその一人ですね。『好き』と言いたい相手は、もういませんし……」
その写真には彼女と旦那さんが写っている筈だ。という事は、既に旦那さんは亡くなっているのかもしれない。
「あ。……済みません、リラさん」
肩をすぼめ、しゅんとしているかなめ。リラは宗介の方を向き、
「ソースケくんも、今度はちゃんと彼女を守って下さいね」
「無論だ」
真面目な顔でそう言い切った宗介を見て、リラがくすりと笑って「よかったわね」とかなめの方を見る。
かなめはどう言っていいか判らず、恥ずかしそうに小さくなっていた。
宗介は傭兵である。戦いの中で死んでしまう可能性の方が高い。
自分もそうだ。<ウィスパード>とかいう存在のために、様々なテロリスト達に狙われている。
元々人間の運命など先は判らない。だが宗介もかなめも、普通の人よりは非凡な運命に違いない。この先も無事である保証などどこにもないのだから。


リラの家を去り、かなめは隣を歩く宗介の横顔を見ていた。
「好きだと言えるうちに、たくさん言うべきですよ」。
実体験に基づいたリラの言葉が、かなめの心に引っかかっていた。
「どうかしたのか?」
かなめの胸中など知る由もなく、宗介がぶっきらぼうに声をかける。彼女はむっとして手を振り上げ――力なく手を下ろした。
「恥ずかしがるって事は、それだけそれが大事だって事ですよ」。
それも妙に引っかかっていた。
ここで宗介を殴って怒鳴り散らしてはいけない。少なくとも、宗介の事が「気になって」いる事は確かなのだから。少しくらいは素直になろうと決意する。
(判ってるけど……言えないわよね〜)
簡単に決心がゆるんでしまう。
(それに、この朴念仁に、こういうのを口で言って判るかどうか……)
しばし沈黙していたかなめだが、
「えい」
ふいに宗介の腕に自分の腕を絡ませた。
「さ、帰ろ。ソースケ」
そう言って、頭を彼の肩にこつんと乗せるようにして上目遣いでちらりと見る。そんなかなめを、少しびっくりした顔で見た宗介は、
「ああ。そ、そうだな」
短く答えるとふいとそっぽを向いて、人差し指で鼻の頭をぽりぽりかいている。
(……あ。こいつ照れてやんの)
無愛想な宗介のその仕種が、今日はどこか可愛く見えた。かなめは意地悪っぽくクスクス笑う。
結局口では言えなかった。かなめは自嘲していたが、隣の彼を見て思い直した。
(言葉じゃないってのも、悪くないか)
笑顔こぼれる少女と照れくさそうな少年は、ゆっくりとした足取りで駅に向かって歩いて行った。

<真夏に咲いたライラック 終わり>


あとがき

お読みになればお判りでしょうが、少々ノリを変えてます。話自体がラブラブに寄ってるし。
管理人の中では充分ラブラブです。こんなんでも。そもそも他所のサイトじゃ下の名前で呼び合ったり堂々とキスしてたりってラブラブストーリー多いから、そうは見えないでしょうけど(別にそれが悪い訳ではない)。
確かに「言葉」で伝えたい。でも、気持ちを表現するのは言葉だけではありませんしね。こんなのもいいんじゃないかと思います。

今回はオリキャラを通じて宗介の過去を書いてみました。この頃の話はオフィシャルでも殆ど触れてないので色々好き勝手書ける反面、本編とのつじつまを合わせるのが一苦労なのです。まぁ、違和感なくやったつもりではありますけど。一応小説の方を基準に致しました。
名前は出てませんけど、宗介達と一緒にいた「白人男性」。誰の事だか判りますよね??

今回は元ネタ云々をいちいち解説するよりは、ライラックのうんちくを書いた方が判りやすいでしょう。
ライラック:アフガニスタン・ヨーロッパ南東部原産。
名前の語源はサンスクリット語の「ニラ(暗い青)」らしい。
それがペルシャ語でニラッグ(青っぽい)、アラビア語でライラック(青みを帯びた)と言っていたのがスペインに入り、さらにフランス語(リラ)、英語(ライラック)になったと言われている。
花言葉は色や本によって異なるが「初恋の味」「青春の喜び」「若き日の思い出」など。
民間伝承では、白いライラックを家に持ち込むのは不吉とされ、他の色であってもライラックをお見舞いに持って行ってはいけない事になっており、ライラックを婚約者に贈る事が婚約解消の申し出を意味していた時代もあり、またアメリカの一部地域では女性が身につけると婚期を逃すと言われていた時期もあり、あんまりいいイメージの花ではありませんでした。
しかし、今ではウェディング・ブーケとして人気があり、5つに割れている花(普通は4つ)を見つけて黙って飲み込むと、愛する人が永遠に離れていかないとも云われている。
ちなみにフランスのパリ市内モンマルトルにはライラック(リラ)の木が多く、花のシーズンになると一面リラ色に染まるそうです。

……これらを頭に入れて色々見ると、そこかしこにちりばめたネタに気づかれると思います。が、調べるの大変だったんですよ。
それから「L’AMPHORE」というお店は実在しますが、今回の話に登場する店との因果関係は全くありません。あしからず。


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