みんなで語る

『この世界の魔法』


剣と魔法の世界に「魔法」はつきものです。その魔法の特徴がその物語の特徴と言っても過言ではありません。
このBaskerville FAN-TAIL世界の魔法は、どんな物なのか、皆さんに語って頂きました。

クーパー:それでは、分かりやすいように、魔法の種類から説明を始めたいと思います。
コーラン:人界の人は【黒魔法】【白魔法】なんて分け方をしてるみたいだけど、それはあくまでも「俗」に言われてるだけで、正確な呼び方でも分け方でもないわ。
ナカゴ:私は魔法は専門じゃありませんが、その分け方にはちょっと不満があります。
コーラン:だから説明するんでしょ。けど、魔法の種類って言われても、人それぞれだから説明のしようがないんじゃない?
クーパー:魔法を学問として学ぶ魔法学会の区分では力の源によって【信仰魔法】【盟約魔法】【精心魔法】の三種類に分けられています。ここは学会の区分に従って説明をした方が公平でしょう。

?信仰魔法とは?
クーパー:【信仰魔法】とは、人界とは異なる世界に住む者——ボク達人間が神様とか悪魔とか精霊と呼んでいる者達を崇拝する事により、その見返りとして様々な「力」を分けてもらう魔法を言います。
一般の人がイメージする【白魔法】はこれになりますね。
ナカゴ:信者の数が増えるほど神・悪魔・精霊の力も増しますから、よっぽどじゃない限り拒まれる事はないでしょう。
コーラン:その代わり、信仰の代償として「○○をしなさい」「××をしてはいけない」という、行動制約がつくケースが多いわね。端から見れば実に下らない事だけど。
クーパー:その代償が信仰の証でもありますからね。その代わり、そういった事をきちんと守る人には多大な加護があります。
【信仰魔法】の特徴は、いかに強く信仰するかで魔法の威力が決まるところです。信仰心の強い人ほど、神は大きな力を貸し与えて下さいます。
ナカゴ:だから「神の奇跡」なんて言い方をするんですね。
クーパー:そうです。もちろん偉大な奇跡を起こすためには、その神の力を受け止めるだけの身体が必要になります。悲しいかな。生半可な人間の身体や精神では、神の力に耐えられないのです。だから皆さん「修行」して心身を鍛えるのです。
コーラン:だから【信仰魔法】って聖職者ばかりなのね。鍛えて力がつくんなら苦労はないでしょ。
クーパー:【信仰魔法】を使うのは聖職者だけではないんですけどね。多い事は事実です。

?盟約魔法とは?
コーラン:【盟約魔法】とは読んで字のごとく。異世界に住む者達——くり返すけど、人界で言う神とか悪魔とか精霊なんかね——とあらかじめ契約を結ぶ事で、様々な「力」を分けてもらう魔法を言うの。
人界の人達がイメージする「魔法使い」【黒魔法】のイメージはこっちね。ほとんどの魔法はこれに分類されるわ。
ナカゴ:契約を結ぶ方法はいくつかあります。まずはそういった方々を手順に乗っ取ってこの世界に呼び出し、対話の後に契約を結ぶ。これが基本であり、かつ正式な方法です。
クーパー:もちろん、自分が使いたい魔法によって、呼び出す者を決めなければなりません。火の魔法が使いたいのに、水の精霊を呼んでも意味がありませんから。
使いたい魔法の数だけそうした契約を結ぶ事になる訳ですね。
コーラン:昔契約した人の契約書、それに準ずるアイテムを元に、新たに再契約を結ぶ人もいるわね。
ナカゴ:既に契約を結んでいる場合は、その神などを通じて別の者とも契約を結ぶ事もあります。例えるなら「お友達を紹介してもらう」感じでしょうか。
クーパー:そもそも呪文そのものが「こういう事をしたいので、あなたの力を貸して下さい」という内容になっている物が多いですから、あらかじめ呼び出して契約をしなくても、ほとんどの盟約魔法を使う事はできますけどね。
コーラン:もちろん契約しておいた方が魔法の威力も成功率も上がるけど。
クーパー:魔法使いを相手にするという事は、相手が契約している存在との代理戦争と言い換える事もできる訳です。
ナカゴ:だから【盟約魔法】を使う人は、異世界のいろんな事を知っていないとなりません。自分が契約を結んでいる中で、相手に有効な物を選び、力を借りないとならない訳ですから。
コーラン:そもそも契約を結ぶ段階が一番大変よ。【信仰魔法】と違って、基本的に呼び出された側にメリットってないもの。信者が増えて自分の力が増える訳じゃなし。
クーパー:呼び出した者の性格にもよりますね。素直に力を貸してくれる者よりも、色々わがままを言ってごねたり、「契約してやるから」という条件で無理難題を持ちかける者の方が遥かに多いですから。
コーラン:だから【盟約魔法】は、術者の魔力に正比例するの。自分より実力のある異界の者とは契約できないし。というか相手にもして貰えないわよ。
クーパー:呼び出された者は、呼び出した者の魔力を見ています。脅したり言いくるめようとしても、あまり意味がありません。

?精心魔法とは?
ナカゴ:【精心魔法】というのは……生まれながらに使える魔法です。私達魔族はもちろん、魔法の力の源となる神や悪魔や精霊といった者達も使います。
コーラン:これは明文化はしにくいわね。魔族にとっては生まれつき自然にできる事だから。例えるなら「あなたはどうやって指を動かしますか?」って聞かれてるのと同じよ。答えられる?
クーパー:それでは、こうしたコーナーで取り上げる意味がないんですが。
ナカゴ:お気持ちは判りますけど、事実ですから。
まず他の魔法と違って【精心魔法】には「呪文を唱える」という動作が必要ありません。我思わば呼応せん、というやつですね。
コーラン:自分で「使うぞ」としっかり意識するために指を差したり——私の場合は「火よ!」と叫ぶ事があるくらいね。
ナカゴ:私は先祖が鉄の神だったので、物を鉄に変える事ができます。もちろん時間制限はありますし、あんまり大きい物はできませんが。
コーラン:私の先祖は位の低い火の神様。物を燃やす事ができるけど……せいぜい「火種」程度の火しか起こせないし。
クーパー:呪文の詠唱が要らない代わりに、威力の方が低い訳ですね。
ナカゴ:しかも、鍛えてもそれほど威力は上がらないんです。
コーラン:だからこの魔法は単独で使うよりも、組み合わせて使う方が多いわね。
魔界の剣士が剣に魔法をかけて戦う時に使う魔法は、たいがいこの【精心魔法】だし。
クーパー:人間の目から見れば、ほとんど超能力ですね。
ナカゴ:超能力も魔法も似たような物だと思いますけど。
コーラン:魔法はある程度なら言葉で説明できるけど、超能力や【精心魔法】は、今の人類じゃ言葉で説明できないだけ。説明できなくても、確かに存在し、使う事ができる。それでいいのよ、今は。

?魔法のプロセスとは?
クーパー:まず呪文が必要です。魔法を使うのに必要な「言葉」ですね。
ナカゴ:【精心魔法】には要りませんけどね。
コーラン:具体的に言うならば、神・悪魔・精霊などがいる異世界へ届く言葉。この言葉によってこの世界と異界を繋ぎ、力を分けてもらう事になる訳ね。
クーパー:でも、一つ問題がありまして。この呪文に使う言葉はこの世界ではほとんど聞こえないんです。発音が難しい上に、間違えれば何も起きませんからやり直しです。間違えないために全神経を集中させるので、魔法を使う人達は軽装を好みます。
ナカゴ:そのサポートをする意味で持っているのが「杖」ですね。あれにはそういう効果もあります。もちろん杖とは限りませんが。
コーラン:【信仰魔法】の使い手は、「信仰」という手段で常に異世界にいる神と繋がってるから、多少発音を間違えても、向こうが酌んでくれるし。信者の願いを聞く事も、向こうにとっては大事な事だからね。
ナカゴ:特定の物に封じられている魔法を使う場合はこの限りじゃありませんけど。
クーパー:複数の存在と契約を結んでいる【盟約魔法】の使い手は大変ですよ。神様や悪魔、精霊によって言葉が違いますから。力を借りる対象によって言葉を変えないといけません。
ナカゴ:だから普通の人は一つの魔法を使うだけで心身共に疲れ切っちゃいます。歴史に名を残している程の「魔法使い」でも、よほど使い慣れた魔法でもない限り、そう連続しては使えないでしょうね。
コーラン:簡単な物なら連続使用もできるけどね。大がかりな魔法をドンと使うよりも、些細な魔法を最大限に生かす。それこそが「いい魔法使い」の条件と言ってもいいわ。
クーパー:そうした言葉が神様などに届き、その力を貸して戴く事になる訳です。その力を受け止めて使う時に必要なのが「魔力」と呼ばれる力です。これも言葉で説明するのは難しいですね。
ナカゴ:手を抜いてる、なんて言わないで下さいね。
コーラン:例えるなら水鉄砲かしらね。異世界からの力が「水」。魔力が「水鉄砲」。
力が多すぎれば溢れちゃうし、少なかったら魔法にならない。
クーパー:その水鉄砲の出力は術者が調整する訳ですからね。いい例えだと思います。

?したがって……?
クーパー:以上のように、魔法学会の区分ではボクは【信仰魔法】の使い手という事になります。「バイブル」という神様の御言葉が書かれた本があるのですが、その元々の言葉は神様の言葉ですから、それを使います。
コーラン:私は【盟約魔法】と【精心魔法】ね。得意なのは「風」の魔法と「光の矢」の魔法。
ナカゴ:私は【精心魔法】だけです。さっきも言った通り、物を鉄に変える事ができます。
コーラン:ちなみにセリファのカード魔術は【盟約魔法】になるのかしら。呪文でカードに描かれた物を実体化する訳だから。
この場合、力の源はカードとしてこっちの世界で物質化してるから、こっちの言葉で言わないと魔法の効果は出ないけど。
ナカゴ:グライダさんの場合は……あれ、魔法ですか?
クーパー:魔法……でしょうか。
コーラン:グライダの意志で実体化するだけだからね。厳密には魔法と言わないでしょうね。

ナカゴ:魔法っていうのは、完全に「生まれつきの才能」と言えるでしょうね。使えない人は一生使えません。残酷な現実ですけど。
クーパー:「学問」として知識を学ぶ人も多いんですよ。でも、そういう方々を「魔法使い」と呼ぶ事はありません。
コーラン:そういう「知識しか知らない」人が、サギを働くってケースもあるのよね。
ナカゴ:皆さんは、くれぐれもこういったサギ行為に加担しないで下さいね。
といっても、それぞれの言葉が何を現わしているのかを理解し、自分の物としていなければ、魔法は本当の力を発揮しませんけど。

——Onyx Cooperblack & Cyca S Corran & Nakago Schalen

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