グライダ&セリファが語る

『歳 時 記』


グライダ:どうも、はじめまして。グライダ・バンビールです。
セリファ:セリファで〜す♪
グライダ:え〜っと。あたしとセリファでこの町の事を話してくれって言われたんだけど、前にシャドウが話しちゃってるしね。何を話せっての?
セリファ:ての?
グライダ:真似しなくていいから。……はあ。年中行事とか、そういうのでいいの? それなら、あたし達でも何とかなるか。
セリファ:年中行じって? おまつりのこと?
グライダ:ま、そんな感じかな。それを表にすると、こんな感じ。

シャーケンの町の年中行事
獅子(しし)/分春(ぶんしゅん)の月 新年・新学年開始
駿馬(しゅんめ)/序夏(じょか)の月 魔界の帰昔(きせき)祭
忠犬(ちゅうけん)/穏夏(おんか)の月 長期休暇を控え、定期テストがある
龍王(りゅうおう)/昇夏(しょうか)の月 学校長期休暇1 バーレル神祭り
大魚(たいぎょ)/最夏(さいか)の月 この月は特に何もない
老亀(ろうき)/斜夏(しゃか)の月 ムウィスタ神祭り
猛虎(もうこ)/晩夏(ばんか)の月 長期休暇を控え、定期テストがある
賢猿(けんえん)/終夏(しゅうか)の月 学校長期休暇2 アルト神祭り
野牛(やぎゅう)/分秋(ぶんしゅう)の月 この月は特に何もない
白羊(はくよう)/序冬(じょとう)の月 ラピアス神祭り
豪猪(ごうちょ)/中冬(ちゅうとう)の月 一学年終了
鳳凰(ほうおう)/終冬(しゅうとう)の月 学校長期休暇3 クレアート神祭り

グライダ:あ、「獅子」とか「駿馬」っていうのは、この世界共通の月の呼び方で、「分春」とか「序夏」っていうのはシャーケンの辺り独自の呼び方なの。
セリファ:本には「きせつとむすびついたよび方」って書いてあったよ。
グライダ:確かにこの辺りは夏の期間が長いから、こっちの方が季節感があって好きなのよね。もっともこの通りに季節が動くとは限らないけど。
セリファ:おねーサマ。バザーが書いてないよ、このひょう。
グライダ:だって、アレって一月に一回あるから、書かなくていいかな〜って(笑)。
セリファ:バザーはね。いろんなのがいっぱい売ってて楽しいんだよ。
グライダ:おまけに安いし。魔界の物も結構売ってるから、利用者も多いしね。


この世界の学校生活
グライダ:表を見れば判るけど、この世界の学校は、新学年と年の最初が同じなのよね。判りやすいけど。で、基本的に一ヶ月は三〇日。ただし「龍王」「老亀」「賢猿」「白羊」「鳳凰」の月は三一日。そして、四年に一回だけ「鳳凰」の月が三二日になります。
セリファ:三ヶ月学校に行って、一ヶ月お休みなんだよ。
グライダ:ちなみに学年は小学校・中学校・高校が四年間ずつ。もっとも、高校には行かない人も多いけどね。職人の修行に入る人なんかも多いから。
セリファ:大学は学校によって年数がかわるんだよ。
グライダ:セリファが言った通り、三ヶ月行って一ヶ月休みの四ヶ月で一サイクルな訳。休みの前には定期テストがあるけどね。全教科。しかも豪猪(中冬)の月のテストの点が悪いと、延々補習漬けだし。それでダメなら留年決定。
セリファ:セリファ、テストきら〜い(泣)。
グライダ:そう言ってる割に、理数系の教科はズバ抜けて成績良かったけどね、この子。
セリファ:えへへへ(照)。
グライダ:それに、三ヶ月の間毎日学校だしね。もっとも、一週間に一日は部活動の日。一日は任意参加のボランティア活動があるから、毎日授業って訳じゃないけど。ちなみに「土の日・水の日・木の日・風の日・火の日・金の日・天の日」の7日で1週間。部活は風の日でボランティアは天の日なんだけど。
セリファ:セリファはぶ活やってないけど、おねーサマはいっぱいやってたもんね。
グライダ:運動関係には、だいたい首つっこんでたしね。身体動かすのが好きだったから。だから、ボランティアには殆ど行ってない(笑)。
セリファ:セリファはおねーサマといっしょがいいから、あんまり行ってないの。


シャーケンの町のお祭り
グライダ:前にシャドウが「この町には観光名所がない」って言ってるけど、それは本当。ホンットに何にもない町だもんね。せいぜい海くらいかな。海水浴客は結構来るけど。
セリファ:セリファもおよぎに行くもん。
グライダ:けど、上の表を見れば判る通り、お祭りは多いのよね。お祭りとバザー目当てね。観光客は。
セリファ:いろんな人がいーっぱい来るんだよ。
グライダ:そのお祭りを、順に説明していきます。

□魔界の帰昔(きせき)祭■
セリファ:みんなむかしの人のカッコしてておもしろいの。
グライダ:それじゃ誰にも判らないでしょ。これは、古き良き時代を偲び、昔の服を着て、昔の料理を食べるって風習なんだって。コーランが言うには「自分達の先祖の苦労を忘れないように」って事らしいけど。
セリファ:でも、あのおりょーりぜんぜんおいしくない。
グライダ:ああ。それは、昔の魔界は水が少なかったからなんだって。だから料理もパサパサしてるし、味も大ざっぱ。魔界の人はともかく、あたし達にはちょっとね。
セリファ:でもでも。おもしろいものはいーっぱい売ってたよ。
グライダ:確かに。骨董品市みたいなのもやってるから、そっちを目当てに行った方がいいかも。

□バーレル神祭り■
グライダ:これは神話にある『戦いと勝負を司る勇気の神』バーレル神の戦いを、劇で再現するっていうもの。演じるのは子供だけどね。あちこちの町でいろんなのがやるけど、シャーケンの町では『海の魔王の一幕』というのをやります。
セリファ:え〜と。これは『海にすくった八つ首のりゅうをたおす話』なの。
グライダ:バーレル神が人間の姿で立ち寄った海辺の町。その町の沖には八つ首の龍が巣くい、人々を困らせていた。バーレル神は単身龍の元へ行き、正体を現わしてこれを退治するってあらすじかな。クライマックスで、バーレル神が槍で龍の頭を串刺しにするシーンはカッコイイのよね。あたしもバーレル神の役、やった事あるし。
セリファ:おねーサマ、すっごくカッコよかったもん♪
グライダ:この時屋台で出るのが『龍の頭を串刺しにした』ところから出た串焼きなんだけど、肉とか魚とか野菜とか果物まで一つの串に適当にグサグサ刺さってて、美味しいというか奇妙というか。
セリファ:バーレルっていうかみさまは、大ざっぱなせいかくなんだって、クーパーが言ってたよ。
グライダ:だからって、料理まで大雑把ってのはね。あ。ちなみに「腕相撲大会」とか「武術大会」なんかも開かれます。

□ムウィスタ神祭り■
セリファ:これはおまつりなの?
グライダ:確かに。お祭りというよりは、いろんな学会の研究発表会なのよね。この神様は『知恵と知識を司る真実の神』だから。
セリファ:や台とかないからつまんない。
グライダ:ちなみにシャーケンの町では「海洋学」と「魔界関係」の学会が発表会を開きます。

□アルト神祭り■
グライダ:『美と芸術を司る愛の神』だけあって、絵とか彫刻の展覧会・発表会が開かれます。一種の「芸術祭」よね。学校の文化祭もこの時期にまとめて開かれるし。
セリファ:町の中もいーっぱいかざりつけとかするんだよ。
グライダ:この月のちょうど真ん中の日に「好きな人に告白すると永遠に結ばれる」って言い伝えがあってね。一種の告白デーになってるわ。あたしも早くそういう彼氏が欲しいわよ。
セリファ:セリファは、クーパーに「セリファとなかよくしてね」っておねがいしたよ。
グライダ:……あ、そ。

□ラピアス神祭り■
グライダ:『平和と喜びを尊ぶ女神』ラピアス神のお祭り。平和と喜びっていってもピンと来ないけど、要は収穫感謝と豊作祈願のお祭りね。もう飲めや歌えやの大騒ぎ。
セリファ:おいしいものいーっぱいあるから、セリファ大すき。
グライダ:確かにそうなんだけど、あんたそればっかりね。
セリファ:だって、おいしいもん。
グライダ:この時期はいろんな食べ物が旬を迎えるから、おいしいものが沢山集まって、市場なんかもすっごく賑わうのよ。目の回る忙しさってのはこの事ね。
セリファ:おめめが回ったらグルグルしてきもちわるいよぉ。
グライダ:やる事はそれだけじゃないけどね。この月の満月の夜は、どこのお店も木の小枝を店頭に下げておくの。ラピアス神が「暗闇と月の神の力で小枝から生まれた」っていう神話に基づいて、「ここから平和と喜びが生まれるように」っていうおまじないみたいなものかな。
セリファ:「どんなえだでもかまわないけど、地めんにおちてたえだじゃないとダメ」って、クーパーが言ってたよ。
グライダ:その辺も神話をなぞってるのかな。あたしはよく知らないけど。

□クレアート神祭り■
グライダ:主神にして創造神。クレアート神のお祭りです。
セリファ:一ヶ月かけておまつりのじゅんびをしま〜す。
グライダ:まぁ主神のお祭りだから、今までの中でも一番盛大にやります。屋台やバザーの規模も半端じゃないし。
セリファ:みんなでおいしいものいーっぱい食べるの。
グライダ:それはもういいから。中でも盛大なのは、町の広場に大きなハリボテの人形を作って、新年へのカウントダウンと同時に派手に燃やすヤツね。
セリファ:すっごくきれーなんだよ。
グライダ:クーパーが言うには「今までの古い自分と訣別し、新しい年を新しい自分で迎えるため」だって言うんだけど。
セリファ:本には「火の中からよみがえるほうおうにあやかって」って書いてあるよ。
グライダ:だからこの月は「鳳凰の月」って言われるのよね。特に四年に一回の「三二日の鳳凰の月」の時はそれに加えてクレアート神が「太陽と月の神の力で岩から生まれた」神話になぞらえて、昼間に何十人もの男の人が大きな岩を担いで、町中をねり歩くっていうのをやるんだけど。見てる分にはともかく、自分でやるのはちょっと……。
セリファ:さい後には、その岩こわしちゃうんだよね、みんなで。
グライダ:で、その壊した石は「お守り」とされるんだけど、殆どみんなで奪い合いの世界ね。意味があるんだろうけど、あたしはよく判りません、マジで。


グライダ:以上。ホントに駆け足で紹介してみたけど、大丈夫かな?
セリファ:わかんない。
グライダ:まぁこんなところで。ホントに何にもないクセに賑やかすぎる町だから、ここは。良かったら来てみて。それじゃ。
セリファ:ばいばーい。

——Grayda Banville & Serifa Banville

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